ゆっくりと12月の明かりが灯りはじめる

にぎやかになっていく街の様子に誰もが心を踊らせる

その幸せに満ちた街を私は一人、足早に駆け抜けていく

目的のお店の前につき、少し息を整える


唯「よかったぁ、売れてなくて」


憂と一緒に買い物に来た時、憂が欲しそうに眺めていたこのお店のこの椅子

私はそれを買い、店員さんに丁寧にラッピングしてもらい受け取った

予想外の重さに少しよろけてしまい、店員さんを心配させてしまったが

「大丈夫です」と笑顔を見せながらお店を出る

荷物を抱えにぎやかな街の中を家へと向かい一人歩く

私は幸せだった


煌びやかに装飾された繁華街を抜け、少し静まり返った住宅地へと出る


唯「ジングルベール ジングルベール 鈴がー鳴るー♪」


急に静かになってしまった寂しさをごまかすように私は歌を歌う

私の歌が響く静かな帰り道を歩いていると、私は少し急ぎ足になっていた

憂にプレゼント渡したら喜んでくれるかな?とかどんな顔するんだろうと思うと楽しみで仕方がないからだ


家に付いた私は静かにドアをあけ中に入っていく

こっそりとリビングから台所を覗くと、憂が居た

台所に向かう憂はいつものように忙しそうに、でも楽しそうに夕食を作っていた


唯「憂、ただいまー」


憂「あ、お姉ちゃん、おかえりなさい」


買ってきたプレゼントを憂には見えない位置に置き、憂に声をかけた


憂「今夜も冷えるね、もうすぐご飯できるからね」


唯「うん、じゃあ部屋で着替えてくるね」


私はもう一度買ってきたプレゼントを持つと自分の部屋までそれを運んだ


部屋着に着替えリビングへと戻り椅子へ腰掛けると、何をするでもなく夕食を作っている憂をただ眺めていた

私の視線に気が付いたのか、憂が私へと声をかけてくる


憂「お姉ちゃん、どうしたの?」


唯「ううん、なんでもないよ、憂」


憂「ふふっ、変なお姉ちゃん」


こんななんでもないやりとりにも幸せを感じるようになったのはいつからだろう


いつまでも、こんな幸せを感じ続けることができるような気がしていた

何もかもを煌めかせ、私に幸せを与えてくれる

喜びも悲しみも全部分かち合って過ごしてきた

今、一緒に微笑み合っている

この憂と


にぎやかな街の中を憂と歩いていた

ふと立ち止まってしまった私に憂が近づいてきた


憂「どうしたの?お姉ちゃん」


唯「うんとね、憂と過ごしたいつかのクリスマスを思い出してたの」


憂「いつかのクリスマス?」


唯「うん、憂に椅子を買ってあげた時の…」


そんな会話をしてる私たちの側を誰かが足早に、大きな荷物を抱えて通り過ぎる

今の私たちのように幸せそうな顔で




※途中でぶん投げちゃったのでこれで終了です



※作者別

……

憂「……ふー」

カラーボックスのなかに本を戻し終えて、一息。

ようやく部屋も見慣れた姿に戻ってきました。

憂「こっちはおわったよー」

唯「むっ?憂はやいよぉー」

机の下を掃除していたお姉ちゃんが顔を出して、困ったような顔を作りました。

憂「そっちも手伝うよ」

唯「へへ、ありがとー、ういー」

わたしがそう言うと、お姉ちゃんはにへらと顔を崩しました。

今日は12月29日。

大晦日は明後日なのですが、その日はゆっくりしようということで早めに大そうじをすることになりました。

ふたりで家中をそうじするのはなかなか大変だったのですが、

お姉ちゃんもふんすと鼻を鳴らしてがんばってくれたので思ったより時間はかかりませんでした。


リビング、お風呂場、トイレとそうじをしていき、

そしていよいよ最後のお姉ちゃんの部屋。

お姉ちゃんはなかなかたくさんものをため込んでいたようで、一番時間がかかってしまいました。

でもお姉ちゃんがせっせとがんばっているのでわたしも負けてはいられません。

ラストスパートとばかりにそうじを片付けていきました。

そのおかげか、夕方から始めた部屋のそうじも夕飯前には終わりそうです。

あと残っているのは、机まわりだけです。

憂「よいしょ……」

唯「どうぞどうぞ」

わたしも机の下に膝をつくと、お姉ちゃんは体を横に詰めて入れるだけの空間を作ってくれました。

憂「おじゃましまーす」

お姉ちゃんに乗せられて、そんなことを言いながらもぐりこみます。

唯「……うふふ……」

頭を入れると、お姉ちゃんが楽しそうに声を漏らします。

憂「どうしたの?」

唯「なんかさ、こういうのって楽しいよね」

わたしが頭に疑問符を浮かべるのを見て、お姉ちゃんは続けます。

唯「ふたりで狭い場所入って……なんだか秘密基地みたい」

そしてまた楽しげに口元を抑えました。

唯「……あれー?」

わたしがまだ不思議そうにしているのを見てか、お姉ちゃんもそんな顔になりました。

唯「そう思わないかなぁ?」

今度は考え事を始めてしまったお姉ちゃんを見て、わたしも笑ってしまいました。

憂「ふふっ……うん、そうだね」

唯「でしょー?」

よく分からないけれど、少しわくわくするような気持ちのことなのかな。

お姉ちゃんが楽しそうにしていると、わたしまで楽しくなってしまいます。

唯「よし、じゃあ続きやろ」

憂「あっ、うん」

わたしが考えているうちにお姉ちゃんに言い出されてしまいました。

取り返さんとばかりにぞうきんでホコリを拭いていきます。

唯「ういー、ちょっと雑巾かして」

憂「うん」

この調子だとすぐに終わりそうです。

憂「……あれ?」

机の下に踏まれるように、紙切れがはみ出しているのが見えました。

唯「んー?どうかした?」

憂「ちょっとまってて」

端をつまんで切れないようにゆっくり引き抜きます。

あまり机の重みがかかっていないのか、紙はするする抜けていきます。

唯「え……それは……」

お姉ちゃんにはやっぱり見覚えがあるようです。

憂「……んしょ」

紙には何やら文字が書いてあるようでした。

下にも何枚か挟まれていて、どれも封筒に包まれています。

憂「なにかな……」

封筒を見てみようとしたところ、影がさして見づらくなってしまいました。

唯「……う、憂」

憂「ん?なあに?」

お姉ちゃんはなぜかさっきより声が小さくなっています。

ふり向くと、どうみてもぎこちない笑顔でわたしを見ていました。

唯「それ……かしてくれる?」

お姉ちゃんの頬を、つーっと汗が伝いました。

そんなに暖房を効かせないのに、どうしたのかな。


唯「渡して?」

その声は良いかどうか聞くというよりも、渡すよう迫るような声でした。

憂「うん……」

わたしも拒む理由もないので、手にとったそれを持ち上げます。

一目、封筒に目線を落とそうとすると、飛び込んできたお姉ちゃんの手に遮られてしまいました。

唯「ご、ごめんね!」

奪うようにわたしの手からそれを引きぬき、お姉ちゃんは慌ててそれをポケットにしまいました。

憂「う、うん」

そして今度はまだ挟まったままの封筒を取ろうと口をぱくぱくさせながら取り掛かっています。

唯「あわわ……」

見ていると、焦りすぎてなかなか掴めないようです。

憂「お姉ちゃん、わたしが取るよ」

そんな姿を見かねて言ったのですが、お姉ちゃんは、

唯「だ、だいじょうぶ!」

机の足のほうを向いたままそんなふうに答えました。

唯「くぅっ……もう……」

憂「……」

お姉ちゃんはしばらく取ろうとがんばっていたみたいですが、

どうやら最後の一枚が取れないようです。

憂「平気?」

唯「……うん、憂は心配しなくていいよ」

さっきよりは落ち着いたのか、笑顔を向けてくれました。

唯「んん……」

それでもまだ取れないようで、とうとう手を止めてしまいました。

一息付いているお姉ちゃんの汗をハンカチで拭ってあげます。

唯「あ、ありがと……」

憂「……ね、お姉ちゃん」

唯「?」

聞かれるのはいやだったのかもしれませんが、気になってお姉ちゃんに尋ねます。

憂「その紙、なにか書いてあるの?」

唯「へっ、いたっ!」

お姉ちゃんはびくりと体を跳ねさせて、頭を机にぶつけてしまいました。

憂「ご、ごめんね。大丈夫?」

わたしのせいでぶつけてしまったので思わずお姉ちゃんに近づきました。

唯「つつ……」

お姉ちゃんが手で抑える頭をさすってあげます。

よかった。どうやらコブはできていないみたいです。

憂「ごめんね……」

唯「……へへ、大丈夫」

お姉ちゃんが笑顔をみせてくれたので、わたしも少し安心しました。

憂「……?」

頭から手を離すと、お姉ちゃんのおしりのあたりに封筒が落ちているのに気づきました。

どうやら今のはずみでポケットから出てしまったようです。

唯「?どうしたのうい」

目を凝らさなくても宛名が見えました。

憂「……平沢、憂?」

唯「へっ……あっ!」

気づいたお姉ちゃんがとっさにわたしの目を追って隠します。

唯「……み、みた?」

憂「うん」

また慌てだすお姉ちゃん。

なにか後ろめたいものがあるのかもしれません。

憂「それ、わたし宛だよね?」

唯「……ち、ちがう」

お姉ちゃんは目を合わせてくれないので、余計に疑わしくなります。

憂「お姉ちゃん」

唯「うぅ……」

少し語気を強めて詰め寄ると、お姉ちゃんは小さくなってしまいました。

憂「あっ、ご、ごめんね!」

少し罪悪感を感じてしまいました。

唯「……ううん」

でもお姉ちゃんはまだ所在なさそうにしたまま。

わたしも小さな声で尋ねました。

憂「……わたし宛、だよね?」

唯「……うん」

もう折れたのか、申し訳なさそうに答えます。

憂「だれからの手紙?」

わたしには手紙のやりとりをするような友達もいないので気になります。

唯「……言えない」

でもお姉ちゃんは答えてくれませんでした。

唯「ごめんね」

その姿があまりにも小さく見えたので、わたしも言葉を続けられません。

なにより、わたしがお姉ちゃんにそんな思いをさせたくありません。


お姉ちゃんはちらちらとわたしを伺っています。

わたしが怒っているとでも思っているのでしょうか。

憂「もー、わかったよ」

唯「え……見せなくてもいいの?」

憂「見てもいいの?」

唯「う……それは、だめ……」

憂「お姉ちゃんが見せられないなら、いいよ」

唯「……」

お姉ちゃんは私の顔を見つめます。

憂「?」

その表情は、何かを決めかねているような顔でした。

唯「……う、うい」

搾り出したような声が、わたしの耳に届きました。

憂「なあに?」

ごくりと唾を飲む音が聞こえました。

唯「その……」

何度もわたしを見ては目をそらすお姉ちゃん。

こんな姿もかわいいななんて思ってしまいます。

唯「お話が、あるの」

何か決心がついたのか、ポケットに封筒をしまいながらわたしの目を見つめます。

憂「うん、わかった」

お姉ちゃんを不安にさせないように、わたしはしっかりとした声で答えます。

それでも、胸はなぜかどきどきしていました。

唯「封筒の手紙は、私が書いたの」

お姉ちゃんは正座して、手をぎゅっと握っています。

唯「憂に言いたいことがあって、それで……」

憂「……そっか」

わたしの心も落ち着いてはいませんでしたが、お姉ちゃんのためにがんばります。

唯「……あ、あとで言う、から」

憂「……」

唯「だから、ちょっとだけまって」

憂「……うん」

どうしてわたしたちはこんな狭い場所にいるのかな、なんて思ってしまいました。

それでも、お姉ちゃんが勇気を出すのにはよかったのかもしれません。

不安そうなお姉ちゃんの手を握ってあげました。

憂「えへへ」

唯「……ふふ」

そうすると笑顔になってくれて、わたしの体も熱くなります。

わたしの目に写ったのは、ポケットからはみだしたその言葉。

お姉ちゃんには内緒にするのは、ちょっとだけ意地悪かな。



         ◆ ◆ ◆



あとで続かせてくだしー