唯「ふぅ、疲れたぁ……」

唯(あとは私がみんなのところに帰ってタイムマシン太が壊れるのを待つだけだね)

唯「よーし、んじゃ――」

唯「……」

唯「待って、タイムマシン太壊れちゃったらたしかに世界変わるけど……」

唯「……」

Prrr…

唯「もしもし」

澪『唯? どうした』

唯「ちょっと未来あずにゃんに代わって」

澪『え? あ、うん』

み梓『もしもし、今代わりました。どうしました?』

唯「タイムマシン太壊れちゃったら……未来あずにゃんこっちにまた来れなくなるじゃん」

み梓『そうですね』

唯「……約束したじゃん。遊びに来てくれるって」

み梓『……そうですね』

唯「来れないどころか、タイムマシン太ない世界になっちゃったら……私たちの今までの思い出ってどうなっちゃのかな」

み梓『もともとなかったことになるんだから、タイムマシンを見つけてからの記憶はたぶんなくなるかと』

唯「そうなると……未来あずにゃんってどうなっちゃうの?」

み梓「そもそもタイムマシンのせいで先輩たちが死んだという世界から私は来たんですから……たぶん消えちゃったり、とか」

唯「そ、そんなのやだよ……!」

み梓「じゃあこのままにして唯先輩たちが死んじゃってもいいんですか」

唯「あう……」

み梓『私はそんなのいや。耐えられません。もう1人の私だってそうです』

唯「……」

み梓『電話切りますよ。……早く戻ってきてください』

ブチッ、ツーツー

唯「……」

唯「……」

唯「……」

唯「……」

唯「……」

唯「……っ」



2010年5月11日 軽音部室

シュッ

唯「……」

律「唯ー! 無事だったな! よかったぁ……」

澪「みんなすごく心配してたんだからな?」

唯「そう、なんだ」

紬「お疲れ様、唯ちゃん」

梓「これで一安心ですね!」

さわ子「あっちの私にタイムマシンの破壊は頼んだのよね?」

唯「うん、バッチリ……」

律「あとは壊してくれるのを待つだけか!」

み梓「そうですね」

唯「……ねぇ、未来あずにゃん」

み梓「はい」

唯「本当にこれでいいの!? 消えちゃうかもしれないんだよ!?」

「……」

み梓「……はい」

み梓「私の目的はそもそも先輩たち死なせないことです。その目的のために壊れちゃったタイムマシンでわざわざ時間を越えて来たんですから」

み梓「一種の賭けでしたよ。まぁ、無事につけなかったことなんて微塵にも考えてませんでしたけど」

梓「そんな……」

さわ子「どうして未来の私はそれを止めなかったの?」

み梓「内緒で来たんです。言えばどうせ止められると思ってましたし」

さわ子「……ばか」

紬「そこまでして私たちのことを」

み梓「だって私、先輩たちのこと」

み梓「大好きですから」

梓「ちょ、ちょっとっ……///」

澪「梓……」

律「なんか、照れるな」

ギュッ

唯「あ、ずにゃあ……ん……」

み梓「はい」

唯「ごめん、ごめんね、ごめんねぇ……っ」

み梓「唯先輩はなにも悪くありませんよ」ナデナデ

唯「だっ、でぇっ……」

み梓「それになにも悲しむことないじゃないですか。そこに私はいるんだから」

梓「あ……」

み梓「私も、そっちの私も、同じ中野梓ですよ」

唯「おん、なじ……だけどっ、ちがうんだよぅ……っ」

澪「……」

律「……」

紬「……」

さわ子「……そろそろかしらね」

唯「やああぁぁっ! やだよおおぉっ!」

梓「ワガママ言わないでください!!」

唯「!」

梓「そんなに、そんなに言われちゃったら……つらくなっちゃうじゃないですか」

唯「あずにゃん……?」

み梓「ありがと、私」

梓「別にっ」

梓「……私ね、正直あなたに嫉妬してた。あなたが来てからみんな私を見てくれなくなっちゃったんだもん」

紬「あ、梓ちゃん。そんなことは」

梓「私が勝手にそう思い込んでいただけかもしれない。でも……」

み梓「ごめん……気づかなかった……」

梓「でも許す! 私の方こそごめんなさいっ」

み梓「そんな、謝らなくたって……」

梓「ううん、謝らせてっ」

み梓「なんか、ごめんなさい。私のせいで皆さんに」

さわ子「いいのよ、気にしなくて。あなたは唯ちゃんたちを助けてくれたんだから」

み梓「大したことしてませんよ。伝えに来ただけみたいなものです」

律「でもタイムマシン壊すって考えはお前の発想なんだぞ」

律「なにもできないと思ってた私たちにお前は希望くれたんだ。ちゃんと助けられたよ」

み梓「……えへへ」

唯「……未来あずにゃん。私、待ってるからね。遊びに来てくれるの」

み梓「そう、ですね……約束しましたもんね」

唯「……指きりげんまんウソついたら針千本のーますっ、ゆ……ゆびきっ、たぁ」

唯「やく、そく…………だよぉっ……?」

み梓「……」

み梓「はい! ……約束です!」



2000年4月28日 軽音部室

さわ子「平沢さん……どこに消えちゃったのかしら?」

さわ子「言われたとおり待ってて開けたらいないんだもん……まさか未来に帰った?」

さわ子「と、とりあえず壊すんだっけ」ガシッ

さわ子(うっ……いざとなったら……なんだか)

紀美「さわ子、そんなとこでなにしてんの?」

さわ子「ひっ、きゃあああっ!!?」シュッ…

ズガァァンッ!

紀美「いっ!? な、なにしてんの!?」

さわ子(こ、壊しちゃった……)

紀美「それおじさんからもらったギターでしょ!? な、なんつーことを……!」

さわ子「……こ」

紀美「え?」

さわ子「これが私のロックなんだよおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!」ドカン、ドカンッ、バキィッ

紀美「ちょ、ちょっと!? さ、さわ子ぉっ!!」




2010年5月25日

さわ子「ふふっ、ほんと久しぶりよね」

紀美「さわ子が先生になってからだいぶ会う機会減ったからねぇ」

紀美「どう? しっかり先生やれてんのかよっ、キャサリン」

さわ子「おうっ! じゃなくて、ええ。生徒たちのハートもがっしり掴んでるわ」

紀美「そりゃあおっかないね」クスッ

さわ子「えぇ~! なんでよっ、いい方で掴んでるのよ? 美人でおしとやかで優しい先生ってな感じで!」

紀美「ふふっ、そりゃあいつ本性がバレるか今から楽しみだね~」

さわ子「もうっ……!」



2010年5月25日 軽音部室

梓「……」

梓「……んんっ」

梓「……」

梓「すぅーっ…………」

梓「……」ジャンジャンジャンジャカ、ジャン

梓「ふぅ……」

梓「……」

梓「はぁ……」

ガチャリ

梓「あ!」

唯「あ~ずにゃん!」ギュッ

梓「ひっ」

唯「1人ぼっちで寂しかったかぁい~?」スリスリ

梓「いっ、いきなり抱きつかないでくださいよっ!」

唯「今さら何を言うかぁ、このこのぉっ」スリスリ

梓「うぇー……」グニグニ

澪「お、梓が一番乗りだったのか」

紬「遅れちゃってごめんねぇ」

梓「い、いえ! そんな気にしないでください」

紬「すぐにお茶の用意しちゃうから」

梓「は、はぁ……」

唯「あずにゃんのほっぺプニプニぃ~」スリスリ

梓「あぅぅ……」

律「お前らまたやってんのかよー? あいかわらず仲良いですこと」

梓「ち、違いますっ」

唯「え!? 違うのぉ……?」

梓「あ、いや! えっと……」

紬「はい。今日は紅茶とクッキー」

律「お、シンプルにきたぞ」

澪「美味しそう……は、でも」

律「なんだよ、またダイエット? だったら澪の分も私がもらっちゃおー」

澪「や、やめろ!」

紬「いっぱいあるから慌てなくていいわよぉ」

唯「あ、あずにゃん! 私たちも食べいこっ」

梓「え!? あ、はいっ」

唯「ティータイム~、ティータイム~♪」

梓「それもいいですけど。練習、そろそろ真面目に頑張りましょうね?」

唯「気が向いたらするよ~」

梓「……はぁ」

唯「あ、そういえば聞いてよー」

澪「なんだ?」

唯「昨日いい夢みたんだぁ」

律「なんだよ、夢の話か……」

紬「どんな夢を見たの?」

唯「あずにゃんがうちに遊びに来たって夢」

律「おーおー、中野ぉ。好かれてんのぉ?」

梓「う、うるさいですっ!」

唯「えへへぇ」

澪「……もしかしてそれだけ?」

唯「そうだよ?」

律「おっもしろくねー! どうでもいいっての」

紬「まぁまぁ」

梓「……それで、私はなんで唯先輩のところへ遊びに来たんですか?」

唯「えっとね」

唯「約束通り、ちゃんと遊びに来たって言ってた」

梓「約束? 約束してたんですか?」

唯「うん!」



おしまい