紬「ほかに私たちの中で過去に行ったのは梓ちゃんが最初のトラブルで過去へ行ったことを除けばりっちゃんしかいないし!」

律「そういえば……」

梓「でもそれが違ったらやっぱり私が過去でなにか……」

紬「それを悔やむのはりっちゃんの落書きをどうにかしてから」

梓「うう……」

梓「もし先輩方を殺してしまったのが私のせいだったら……私……」

唯「大丈夫、大丈夫だよぉ」ギュッ

梓「慰めなんていらないです……」

律「ていうか私だって原因作ってたのが私だってのなら……けっこうへこむ」

律「結果的にみんなが死ぬし」

澪「そのときはお前も死んじゃうんだから、気にするな」

律「それは慰め? 慰めてるつもりなのか!?」

梓・み梓「ふふっ……」クスッ

唯「とりあえず! やるだけやってみようよ!」

さわ子「そうね、もしかしたら上手くいくかもしれない」

律「もしかしたらじゃなくて絶対上手くいくの!」

澪「よし、じゃあ原因作ったお前が行ってこい。律」

律「え~……」

唯「はい、りっちゃん! タイムマシン太だよ!」ス

律「うおっ、準備いいな……」

律「えっと、たしか4日でいいんだよね?」

紬「そうよ。4日ならここから跳んでも大丈夫ね」

律「部活は休みってことになってたし、誰もいなかったしな」

梓「そういえば前に4日に跳んだときもこの時間帯でしたよね?」

さわ子「じゃあもう1人のりっちゃんに会わないように気をつけてね」

律「へいへい……」

澪「4日には3人の律がいることになるのか……ん?」

澪「ねぇ、未来の梓」

み梓「はい?」

澪「梓のときも、こうやって未来から梓が来て、お前みたいに私たちが死んじゃうからなんとかしなきゃ、みたいな話したの?」

み梓「いいえ? ……それがなにか?」

澪「あ、いや……なんでもないよ」

み梓「?」

律「話は済んだぁー? あと、私行くぞー?」

澪「あ、ああ」

唯「りっちゃんファイト!」

梓「しっかり原因取り除いてきてください」

律「わかってるって。……では!」

ポーン、ポーン、ピーン

「……」

律「……ん」

律「……」パチクリ

唯「りっちゃん?」

律「な、なんで! 部室に誰もいないはずなのになんでみんないるの!?」

梓「あの、落ち着いて。律先輩」

み梓「ど、どういうことなの……なんで……」

律「え? え?」

律「今日は5月4日だよね? そうなんだろ?」

澪「律……5月9日だ……ていうか」

紬「タイムスリップしてない……?」


ポーン、ポーン、ピーン

唯「……どう!? タイムスリップできた?」

紬「ううん」

唯「だめかぁ」

さわ子「今までにこんなことは?」

律「なかったと思うけど……。なんでだよぉ? さっき過去の私たちが帰るときはちゃんと動いてたじゃんか」

み梓「あの、皆さん聞いてください」

「?」

み梓「もしかしたら、壊れたかもしれません」

梓「タイムマシン?」

み梓「……うん」

澪「う、うんって……」

み梓「私の時間のタイムマシンが壊れてて上手く時間を飛び越えることができないって話、しましたよね?」

澪「ああ」

唯「聞いたよー」

み梓「実は壊れたのは先輩たちが死んでから私がその死を回避しようと奮闘してるときなんです。かなり唐突でした」

紬「それってまさか」

み梓「ええ。こんな状況です」

み梓「そのタイムマシンが壊れたのはもっとさきになるんです。9日には一度もこんなことになりませんでした」

さわ子「未来から梓ちゃんが来たことで、壊れるまでの日にちが縮まったのかもしれないわね」

紬「それってまた世界が変わったってことですよね? だったら22日私が死んじゃうって未来がなくなったりは?」

さわ子「そんなことはその日が来るまでわからないわ。もしかしたら助かるかもしれないし、22日の死は回避できずそのままかもしれない」

さわ子「ていうか回避されているのならここにいる未来の梓ちゃんの存在は? 持っている記憶は?」

紬「……」

ピーン、ポーン、ピーン

梓「未来にもいけませんね」

律「ああ……ん? ていうか」

律「未来の梓ぁ。なんでタイムマシン壊れてたのにお前は使えたんだよ? 動かなくなったんだろ?」

み梓「……タイムマシンが動かないことに私が苛立ってですね」

み梓「タイムマシンを蹴ったんです」

律「え……」

み梓「あ、でもほんのちょっと。かるーく……そしたら」

澪「にしても蹴るってそんな……」

み梓「つ、続けますよっ」

み梓「蹴ったらすぐにタイムマシンが放電したんです」

紬「放電!?」

梓「ちょ、ちょっとそれってまずいんじゃ」

み梓「もちろん私はあんまりにも突然のことにパニックになって……」

澪「梓ぁ……」

み梓「うっ……」

唯「それでどうしたの?」

み梓「しばらくしたら放電は止まって……。恐る恐るタイムマシンを調べて、もしかしたらって過去に跳べるか試すために、弦を鳴らしたら……」

さわ子「できた、と?」

み梓「ですが、跳んだ時間は指定した月日と時間、場所通りじゃなかったんです」

律「それがわかるってことは、変なところに行かなかったんだな」

み梓「……不幸中の幸いですね」

澪「結果からいうと、タイムマシン太がおかしく……」

唯「えへへ~」

澪「どうした唯?」

唯「澪ちゃんもタイムマシン太って言ってくれて嬉しいなぁって」

澪「……と、とにかくっ」

律「おかしくなったのは梓のせいだということだな」

澪「まぁ、おかしくする前にもともと壊れてたんだろ」

み梓「……まぁ、私がこうしてここに来ることができたのも蹴ってまた動かしたから」

紬「結果オーライねぇ」

律「……よし、じゃあ私もこれを蹴って」

さわ子「ちょ、ちょっと待ちなさい!」ガシッ

律「離せー! 止めるなさわちゃーん!」ジタバタ

さわ子「こっちのタイムマシンまでおかしくさせる必要はないでしょっ」

律「じゃあどうしろってんだよっ」

さわ子「……私のおじさんに会いに行きましょう 」

梓「でも、先生のおじさんは」

さわ子「ダメもとでも何でも、やれることは全部やるべきだわ」

さわ子「もしかしたら……何かわかるかもしれないし、この状況を打破できるかもしれない」

唯「おぉ、さわちゃんが頼もしいよ」

さわ子「それっていつも頼りないってこと!?」

紬「ま、まぁまぁ……」

さわ子「というわけだから明日さっそく行くことにしましょう。明日はちょうど土曜日だし」

澪「そうですね」

律「それじゃあ今日は一旦お開きってことで」

唯「色々考えたから頭いっぱいいっぱいだよぉ」

紬「ところで未来の梓ちゃんはどうするの?」

み梓「え?」

紬「帰る家よ」

唯「それなら大丈夫だよー。私の家に泊めるから」

み梓「ごめんなさい唯先輩。迷惑かけちゃって」

梓「……」

「いいなぁ、未来の私……唯先輩と一緒に」

律「寝ることができて。あーんなことやこーんなこととかしちゃうのかなぁ!」

澪「おぉ……似てる」

梓「か、勝手に私の声真似で変なこと言わないでくださいっ!!」

律「違いますぅー心読んだだけですぅー」

梓「きーっ!!」



2010年5月9日 平沢家

憂「さぁ、梓ちゃん。いっぱい食べてね」ニコニコ

み梓「こ、こんなにいっぱい……なんかごめんね、急にお邪魔しちゃって」

唯「昨日もいたくせにぃ~」ヒソヒソ

み梓「唯先輩っ!!」

憂「え、どうかした?」

み梓「……な、なんでもないよ」

唯「うぇっへっへっ……」ニヤニヤ

み梓(ぐぬぬ……)ギリギリ

憂「?」

憂「ところで梓ちゃん。ふふっ、さっきから気になってたんだけどほっぺにシールついてるよ?」

み梓「え? あ……(すっかり忘れてた!)」

憂「大変よくできました、だって」クスッ

み梓「す、すぐ剥がすっ」

唯「えー! そのまんまがいいよー」

み梓「ずっとシール肌に貼りつけてたら肌がはれちゃいますよっ」

唯「じゃあ、いいや」

唯(明日になったらまた貼ればいいしね)フンス

憂・み梓「ん?」


ガチャリ

み梓「ふぅ、お風呂まで借りちゃってなんだか申し訳ないです」

唯「気にしないでよぉ。さーて、今日のところはもう寝ちゃお寝ちゃお~」

み梓「明日早いですしね」

唯「ささっ、私のお隣においで。未来あずにゃん」サ

み梓(けっきょく一緒に寝ることにはなるんだ……)

み梓「で、でも憂がせっかく布団しいてくれたんだし」

唯「いいからいいから」グイッ

み梓「ちょ!? ……もうっ」

「……」

唯「まだ起きてる?」

み梓「寝ました」

唯「起きてるじゃん……ねぇ、私たちうまくいくかなぁ」

み梓「大丈夫ですよ。絶対なんとかなります」

唯「あずにゃん強気だねぇ」

み梓「ここまで来て助けられなかったら私が来た意味、ありませんもん」

唯「そうだねぇ……」

唯「ねぇ、私たちが助かっちゃったらあずにゃんはもとの時間に帰っちゃうの?」

み梓「そりゃあ帰りますよ、なんとかして。ずっとここにいれるわけないじゃないですか」

唯「そっか……ときどき遊びに来てね?」

み梓「へ、変なこと言いますね……私が来なくてもこっちにもう1人の私がいるじゃないですか」

唯「そりゃそうだけど……それはそれ、これはこれだよぉ」

み梓「えー……」

唯「ね?」

み梓「……気が向いたら、遊びに来ます」

唯「えへへぇ」

み梓「ふふっ」



2010年5月10日 

さわ子「みんな集まったわね」

律「あれ? 車変えたの、さわちゃん」

さわ子「借りたのよ。こんなに大人数が乗るんだから私の車じゃ入りきらないし」

紬「あら、今日は別のシールなのね!」

み梓「……///」

唯「ネコのシールだよぉ。角度によっては、ほら光るの」

澪「帽子被るとかすればいいのに。まぁ、制服だから一発でわかるけど」

梓「まぁ、いいんじゃないですか?」

律「他人事だと思って安心してるなぁ? あ、でもこの場合他人じゃないか」

さわ子「ほら、もう行くわよ? さっさと車に乗って」



2010年5月10日 さわ子おじの家

ピンポーン

おじ「おぉ、よく来た」ガチャリ

さわ子「おじさん。お久しぶりです」

おじ「いやぁ、さわ子ちゃんはいつ見てもベッピンさんで……むふふ」

律「なんかエロおやじだなぁ……」ヒソヒソ

澪「こら! そんな失礼なこと言うなよっ」ヒソ

おじ「後ろにいるのが今の教え子たちかい?」

さわ子「ええ。今日は無理言ってごめんなさい」

おじ「ははは、気にするなよ。さぁ、上がりなさい。男1人の家だから散らかっているのは気にしないでくれよ?」

さわ子「お邪魔します」
「おじゃましまーす」

おじ「おぉ、おぉ……こんなに可愛い子たちが俺の家を訪ねてくれるなんて嬉しいこと極まりない」ニコニコ

律「やっぱエロおや……」

澪「ふんっ」ゴンッ

律「ったぁ!?」

唯「すごーい! 本がいっぱいだよー」ウロウロ

紬「ゆ、唯ちゃんっ」

さわ子「こら! ごめんなさい、騒がしくて……」

おじ「いや、気にせんでいいよ。お嬢ちゃんは本が好きなのかい?」

唯「難しい本は嫌いです!」

さわ子「……///」

唯「でも漫画とかは大好きだよ」

おじ「はっはっはっ! 素直でいい子だね君は。いい生徒さんを持ったじゃないか、さわ子ちゃん」

さわ子「は、はぁ……おほほほほ……」

梓「唯先輩ったら……もう」

み梓「私はある程度は覚悟してた……」

おじ「それで? 俺に話って何だい? 用があるから来たんだろう」

さわ子「は、はい……コホンっ」

さわ子「単刀直入にお聞きします。私に譲ってくれたあのギター型のタイムマシン……なにか知っていることがあるのでは?」

おじ「……ぷっ」

律・澪・紬「!」

おじ「ははは、またタイムマシンの話か! 何年か前もその話は聞かれたぞ!」

さわ子「冗談じゃありません! 真面目な話です……っ」

おじ「ははは……あー、悪いが本当に俺はなにも知らなくて」

おじ「そもそもあのギターがなんでこの家にあったのかすら覚えてないんだなぁ」

さわ子「え……?」


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