11月のある日
和「え?嫌よ。なんでそんなことしなきゃいけないのよ」
唯「こないだね、りっちゃんが澪ちゃんの歌詞を、ラブレターと間違えたんだって」
唯「きっと男に飢えてるんだよっ」
唯「だから、和ちゃんが男装して、りっちゃんとデートしてあげてよ~」
和「なんで私が…」
唯「イケメンだから」
和「…」
和「律がそうして欲しいって言ってるの?」
唯「違うよ~サプライズ」
和「普通、そんなことされたら嫌がらせとしてしか思われないよ?」
唯「だって嫌がらせだし」
和「…」
唯「男なんぞにうつつを抜かすりっちゃんなんか見たくないんだよ!」
唯「ボーッとして、ボケもツッコミも温くてさ」
唯「イケメンとデートしたら和だったでござる。ってなれば私のことだけ見てくれるもん」
唯「というわけでお願い♪」
和「嫌よ」
唯「あれ?じゃあ前に和ちゃんが澪ちゃんの真似して書いた歌詞、あれみんなに見せちゃうよ?」
和「やります」
……
唯(男役は確保っと…次はラブレターだな)
唯「ういー!うーーいーー!う~~い~!!」
憂「どうしたのお姉ちゃん?」
唯「ラブレター書いて」
憂「えぇ!?」
唯「適当にでいいから、好きな人に出すつもりで書いて」
唯「あっ、デートに誘うっていう設定で」
憂「う、うん///」
唯(それを適当に名前変えれば大丈夫だよね、たぶん)
唯「どう?書けた?」
憂「うん…でも、恥ずかしいよぉ///」
唯「別にいいじゃん、相手に見せるわけじゃないんだし」
憂「そ、それがね…好きな人は…」
唯「早く見せて~」バッ
憂「ぁぅ…」
唯「憂の好きな人どんなんだ~?」
好き好き大好きお姉ちゃん
いつもお姉ちゃんのこと考えてる
これからもよろしくフォーエバー
次の日曜映画に行こう?
唯「ぬおーーーーっ!」バリバリ
憂「えぇーっ」
唯「なんで私が相手なのっ!」
唯「そういうのじゃなくて恋愛!男のこと書いて!」
憂「うう…やってみる」
あなたのことをずっとみてました
最近、この気持ちが愛であると気づきました
あなたと恋をしたいです
急にこんなこと言って驚きますよね
まずはもっと一緒の時間を過ごして、私のことを知ってください
今度の日曜、一緒に遊園地に行って欲しいです
※ただしお姉ちゃんに限る
唯「どりゃーーーーー!」バリバリ
憂「やめて!これは自分でも気に入ってるから破らないで!」
唯(あっでも、これなら普通に男が、女の子に書いたものにも見えるかも?)
唯(※を消して…っと)
唯(田井中律さんへ。え~っと、名前は…真鍋和(カズ)より、っと)
唯「憂、ありがとう!上出来だよ」
憂「えへへ///で、返事はくれるの?お姉ちゃん」
唯「じゃおやすみ」バタン
憂「oui…」
翌朝6:30
唯(見られてないよね?)キョロキョロ
唯(下駄箱に入れてと…)
8:30
律「なっ…!なっ…!なっ…!」
律「なんだってーっ!」
律「澪!てめぇ今度は下駄箱か!いい加減にしろよ!」グイグイ
澪「な、何の話だよ?」
律「惚けるな!今度は騙されないからな!これを見ろ」
澪「…。いや知らないぞ、本当に」
律「マジで?えっ、じゃあこれ、もしかして」
律澪「本物…!?」
放課後
梓「律先輩に負けた…です…」
澪「嘘だと言ってよカズさん」
律「はっはっはー!今日はなんかお前らが幼く見えるわ!」
梓「くっ…!」
澪「落ち着け梓、これは罠だ。こんなことあるわけないって」
律「でもさ…マジな話、デートってどうしようこれ…不安なんだけど…澪隠れて見ててくれるよね…?」オドオド
澪梓(このギャップがまたムカつく)
唯「遅くなっちゃった~」
紬「こんにちわ」
律「うむ。これを見てみろ」
唯「わー!ラブレターじゃん!りっちゃんすごーい!」
紬「…なんですかこれ…どこでもらったの?相手の顔は?」ゴゴゴゴゴゴゴ…
律「朝来たら下駄箱に入ってた」
紬「ほっ、なーんだ心配して損しちゃった」
紬「女子高なんだから、男が下駄箱にラブレター入れられるわけないもの」
律澪梓「!!!!」
唯(し、しまったぁ!)
紬「これはイタズラか、偽名を使ったトゥルーラブ(♀×♀)ね」
澪「そういえばこれ、ルビ振ってあるけど、和と同じ名前だな」
梓「律先輩(笑)また勘違いですか。まぁ元気だして下さいよ」
律「(笑)を付けるなぁぁぁぁ!!!!」
唯(早くなんとかしないと…)
唯(そうだ!)
唯「違うよ!これ私が入れたの!カズさんに頼まれて!」
律「唯の知り合いなのか!?」
唯「えっと違くて…そう!りっちゃんと同じ電車乗ってて好きになっちゃって、これ渡してくれって頼まれたの!」
律「同じ電車…いたか…?」ブツブツ
紬「りっちゃん、次から私も同じ電車に…」ゴゴゴゴゴ
唯「も、もうその電車乗ってないって!バスにしたって言ってた!」
澪「どんな人だったんだ?」
唯「えーっと、中性的な雰囲気。黒髪で真面目そう」
梓「やっぱり和さんですよそれ!」
律「梓(笑)落ち着けって。ほら、千歳飴食うか?あ、まだ梓(笑)には早いか」
梓「にゃおおおぉぉぉぉぉ!!!」
ガラッ
和「失礼するわよ、予算委員会の日程だけど…」
梓「和さぁぁぁぁん!」
梓「これに見覚えはありますか!?」ドーン
和「何これ…はぁ?知らないけど」
梓「ところがどっこい、同じ名前なんですよ!不思議!白状するです!」
和「本当だ…。まさか唯あんた…」
唯「みんな~、この詞どう思う?実はこれ、のど」
和「こんなもの知らないわ。たまたま名前の字が同じってよくあるわよ」
澪梓紬「そんな…」
律「わかったか、これは本物だ!」
律「新しい私、デビュー☆」
和「じゃあ私は忙しいからこれで…」そそくさ
ガラッ
さわ子「話は聞かせてもらったわ!」
さわ子「りっちゃん。日曜まで時間はないけど、私が特訓してあげる!ついてらっしゃい!」
律「え…?い、いいよそんな大げさな。ちょっと誰かからアドバイスもらえれば」
律「えーっと、こんなかで恋のアドバイスをできる人は…」
唯「ふんすっ」
澪「ぴゅあ☆ぴゅあ」
紬「女の子同士っていいよね」
梓「やってやるです」
律「さわちゃん、頼む!」
さわ子「よしきた!ついてらっしゃい!」
シーン…
澪「なんで律は親友の私に頼らないんだ?」
梓「処女丸出しだからですよ」
澪「おいやめろ。つかお前が言うな!」
紬「まぁまぁまぁまぁまぁまぁ」
唯(舞台は整った…)
唯(さわちゃんがりっちゃんに何をするかわからないけど、私も和ちゃんを男にしなければ)
ガラッ
和「唯、もう部活はいいの?一緒に帰ろう」
~~~~~~
和「ちょっと唯!どうなってるのよ!」
唯「明後日にりっちゃんとデートだけどいいよね?」
和「はぁ…もうこの子は」
和「どうなってもしらないよ?私が男役なんてできるわけが…」
唯「これからウチで特訓しようっ!」
唯家
唯「まずは顔だね。ベタだけど眼鏡外してみよっか」
スッ
和「(33)<何も見えないわよ」
唯「はい。コンタクトレンズだよ」
唯「おおっ!眼鏡外しただけで全然イメージ変わるよ~」
唯「次に服だね~」
唯「ほら脱いで脱いで」
和「ちょ、ちょっと!」
唯「ん?」
和「自分でできるから!」
唯「も~照れないでよ///私と和ちゃんの仲じゃん」
唯「うんうんいいね」
唯「カーゴパンツとパーカーで男らしい感じをだしつつ、ピーコートをはおって上品さも出して…と」
和「なんでこんなもん持ってるのよ…」
唯「マルイの通販で買った」
唯「仕上げにワックスで髪を少しクシャクシャにして…」
唯「おおっ!」
唯「こ、これは予想以上のイケメンだよ和ちゃん!///」
和「な…なんか、ダボダボでだらしない感じがするよ?」
唯「このくらい普通だよ~胸も目立たなくなるし」
唯「そうだ胸も少しキツメのブラに」
コンコン
憂「お姉ちゃん?入るよ~」
憂「お菓子持ってき……誰?その男」ドドドドドドドドド…
唯「和ちゃんだよ~」
憂「ええっ!ご、ゴメンなさい。なんかカッコいい男の人がいると思って」
唯「ほら~やっぱりカッコいいんだよぉ」
和「うう…微妙な心境よ。そんなこと言われたって」
唯「あ、うい。ここでのことは見なかったことにしてね。オフレコだよ」
憂「え?うん、わかったよお姉ちゃん」
…
唯「後は言葉遣いだね!今から会話は全部男になったつもりでね」
和「わかったわ」
唯「わかってないじゃん!」
和「簡単にはいかないわよ…いかないぜ?」
唯「頑張って練習しよ?はい、私の後に続いて」
唯「おれ」
和「おれ」
唯「だぜ」
和「だじぇ。…だぜ」
唯「いいぜ」
和「いいぜ」
唯「てめえが何でも思い通りに出来るってなら」
和「てめえが何でも思い通りに出来るってなら」
唯和「「まずはそのふざけた幻想をぶち殺す」」
唯「なんだ、やればできるじゃーん」
唯(とりあえず準備はできた…後は邪魔が入らなければ)
唯(りっちゃんとさわちゃん先生は、何してるんだろ)
~~~~~~~~~~
律「くそっ!何が特訓だよ…」
律(単に今までのダメ男との歴史を愚痴りたかっただけじゃんか)
律(何の参考にもならなかった…なんか自信無くなってきたぞ)
律(や、やっぱ私にはデートとかまだ早いんじゃ…行くのやめるか)
律(あ~でも澪と梓のドヤ顔は見たくないし。ど~すりゃいいんだよぉ)
とぅるるるるるるるるるる
律(知らない番号?いや…これは…ラブレターに書いてあった)
律(か、カズくんだ///)
律「も、もしもし…」
和「カズです。…初めまして」
律(すっげーいい声!奇麗な声!)
律「はははは初めました!!!」
和「…日曜だけど、VIPランドに10時、来てくれるかな?」
律「は!はい!私なんかで良ければ!」
和「…ありがとう。待ってるよ」
ピ
律(うわー!///うわー!///)
律(もうこれで行くしかなったからな!わかったか私!)
……
唯「グッジョブ」
和「…」
唯「デートもシナリオ通りにやればいいだけだから安心して」
和「…」
最終更新:2010年01月26日 01:34