唯「うまうま~♪ お風呂上がりに食べるアイスは最高だね!」

梓「はあ。さすがに、時期的に湯冷めしそうな気がするんですけど」

 でもまあ、嬉しそうだからいっか。
 それに今夜は一緒のベッドで眠るんだし……私が湯たんぽ代わりになって、湯冷めなんかさせないですよ。

唯「真冬におコタに入って食べるアイスも格別だよ!」

梓「あ、それは何となくわかります。うちの父も、真冬に暖房ガンガン利かせた部屋でキンキンに冷えたビール飲むことありますし」

 くぴー。

唯「おお、同好の士! あずにゃんのお父さんとは美味しいアイスが食べられそうだね!」

梓「そこは『お酒』って言うところじゃないんですか」

 くぴぴ。

唯「だって、お酒はハタチになってからだよ!」

梓「あうー。そういえばそうでしたねー」

 くぴゅ。

唯「……あずにゃん?」

梓「はひ? 何れふか、唯しぇんぱい?」

 何でだろ、冷たいジュースを飲んでるハズなのに、身体が熱い。
 風邪引いちゃったかな、でも湯冷めにしては早すぎる気がするけど。

唯「それ、あずにゃんが飲んでるの……ジュースじゃない、よ?」

梓「へっ? やですよ、唯しぇんぱーい。どっからどう見ても立派なぶどうジュースじゃないれふかー」

 くぴくぴ。
 ほら、缶にプリントされてるのもマスカットの写真ですし。
 何か変な四角い模様が沢山刻んでありますけど、缶がやたらペコペコするから、きっとその為じゃないですかね。
 あれですよ、荷物を梱包するプチプチみたいに、缶をペコペコさせて楽しむんですよ、きっと。

唯「うわーん、あずにゃんが不良になっちゃったよぉ~!」

梓「誰が不良品ですか! しっけーな! 私はまだ発育途上なんですから、おっぱいだってこれから育つんです!」

 くぴー。

梓「そんな、ちょっと……いえ、かなり私よりおっぱい大きいからって油断しないでくださいね! すぐに追い越しちゃうんですから!」

唯「ううっ、しかも酒乱だよぉ、絡み酒だよぅ」

梓「にゃんですとー」

 くぴくぴ……ぢゅー。

梓「あ、なくなっちゃったです……割と美味しかったからもう一本……」

唯「あずにゃん! 駄目だよ!」

梓「ほえ? 何がらめなんれふかー?」

 ああ、頭がふわふわして、これは本格的に風邪かなあ。
 何だか、真っ直ぐ歩けないし、あれれー?

唯「あずにゃんっ」

 ぎゅう。

梓「ふぁ……唯、先輩……? らめれふよ、抱き着く時はちゃんと先に……」

唯「お酒臭いあずにゃんにはあんまし抱き着きたくないけど、ここは先輩として止めてあげなきゃいけないんだよ!」

梓「お……さ、け?」

 手の中の空き缶をよく見てみる。
 ……何なの、この『5%未満』って。

梓「あり……私、どうしてお酒なんか飲んだんれしゅか?」

唯「え? あんまりナチュラルに飲んでたから、あずにゃんはいっつも湯上がりチューハイが習慣なのかと思っちゃったんだけど」

梓「いやー、ぶどージュースのつもりだったんれふよ? れも、変な味だなあと思ったんれふよ? れも、ひと口しか飲まないの勿体ないなあって」

唯「うん、私もお正月とか、ちびっとだけお酒舐めさせてもらったことはあるけど……気付こうよ! チューハイだよこれ!」

梓「ううっ、しゅみましぇん……どーりで身体が熱かったり、ふわふわした感じになってたんでしゅね……」

唯「……うう、あずにゃんがだらんって身体預けてきてくれてすっごく嬉しいのに、お酒臭くてそれどころじゃない……!」

梓「はう……と、とりあえず、今度こそせーりょーいんりょーを飲んで、お酒覚ましますから……」

唯「心配だから私も冷蔵庫までついてくよ」

 ううん、もう、唯先輩ったら。
 お酒臭い私は嫌って言ったくせに、こんなに私のこと心配してくれるなんて。
 なんかもー、嬉しくて幸せで、ロマンチックが止まらないじゃないですかぁ。

梓「あうー。いい感じに酔っ払って唯先輩に抱っこしてもらって、まさにふわふわターイム♪」

唯「手ぇ放して、鉄山靠かましちゃってもいい?」

梓「……しゅみましぇん」



そのご!

梓「お見苦しいところをお見せして、大変申し訳ないです……」

唯「いいよいいよー。もう酔いは覚めたみたいだし、あずにゃんも大酒飲みじゃなかったし、安心したよ」

梓「い、いつもは冷蔵庫のあの場所に、私の好きな濃縮果汁100%のジュースが入ってるんですよ!? でも、何でだか、今日に限って……」

唯「……今度からは、ちゃんと確かめてね?」

 いえ、その……そんな目を潤ませてお願いされなくても、今日で充分懲りましたから。

梓「はい……」

唯「くんくん……うう、まだちょっとお酒臭いよ」

梓「あの、唯先輩は私のベッドで寝てください。私は親のベッドで寝ますから」

唯「それはやだ。さっき一緒に寝るって言ったじゃん」

梓「でも、お酒臭いのが消えるまで、もうしばらくかかるんじゃないかと……」

唯「……こうなったら、私もお酒を飲むしか!」

梓「たった今、私にお酒飲むなって言ったくせに!?」

唯「私もお酒臭くなれば気にならないと思ったんだけど……そうだよね。ハタチになってからだもんね」

 はう。
 舞い上がっちゃって、不注意でチューハイ飲んじゃって、私が招いた結果とはいえ……何てことしちゃったんだろう。
 本当なら今頃、唯先輩とベッドの上で抱き合って、ごろごろ転がったりしながらじゃれ合ってたハズなのに。

唯「じゃあ、テレビで夜更かししよう! そんでもって、匂いがわかんなくなったら一緒に寝よ?」

梓「はい……あ、ついでだから弦の交換しちゃいますね」

唯「だ、駄目だよ! 酔っ払いにそんな危ないことさせられないよ!」

 いえ、別に危なくないと思うんですけど……でも、今夜のところは唯先輩の言う通りにしておこうっと。

唯「はい、あずにゃんはここ! 早く来て!」

 テレビの正面に陣取った唯先輩が、自分の座ってるクッションをぽむぽむと叩いて私を急かす。
 ……って。

梓「あの、私がそこに座ると……お酒臭いんじゃ」

唯「あずにゃんの息が私にかからなかったら平気だよ! それにお酒が抜けたかどうか、すぐ確かめられるしね!」

 あー……。
 何となく、唯先輩のしたいことがわかっちゃいましたよ。

梓「えと、うち、衛星放送映るんで……これ、番組表です」

 誘われるがまま、唯先輩の目の前に、背中を密着させるように膝を抱えてちょこんと座る。
 すると、女の子なのに行儀悪いって思うけど、唯先輩はあぐらをかくように脚を回してきて、腕は勿論私の身体を抱き締める。

唯「ううん、あずにゃん……あったかいねぇ♪」

 予想通り、ぴったり、密着。
 しかもしっかりホールドされてて、どう頑張っても逃げられそうにない。

梓「あっ、あの、チャンネルは……」

唯「あずにゃんの見たいやつでいいよ? 私はこうして、あずにゃんからお酒が抜けたかどうかチェックするので忙しいから!」

 くんくんくん。

梓「じゃ、じゃあ、とりあえず、動物番組の専門チャンネルで……」

 ぽちっとな。

唯「うわ! 何この可愛い生き物!?」

 くんくん、ぎゅう。

梓「さ、さあ……? でも、吹き替えですから、すぐに解説が入るかと」

 落ち着かない。
 薄いパジャマ越しに唯先輩のおっぱいが、これでもかってくらいに押し付けられてるし、髪とか首筋とか喉元とか、絶えず匂いを嗅がれてるし。

唯「すんすん……おおう!? 肉食だよ、この子!?」

梓「ん……そ、そうみたい、ですね……」

 時々、唯先輩のお鼻が当たってくすぐったい。
 アルコールを薄める為に、唯先輩も確認済みのオレンジジュースを飲んだりするけど、その間にもくんくんされてる。

唯「んにゅ~……うぅん、やあらかすべすべだねー、あずにゃんっ」

梓「ちょ、っと、唯先輩っ……ほっぺすりすりしたら、私の息、かかっちゃいますよぉ」

唯「いいんだよ、お酒臭くないかチェックしてるんだもん」

 くんくんくん、すんすん。

梓「ふぁ……ん、んんぅ……」

唯「ひゃあ! お腹! 可愛い虎の子供が鹿のお腹にがぶって! やだこの番組怖い」

 正確には鹿じゃないんですけど、まぁ、このチャンネルの番組ってかなり生々しいですもんね。

梓「じゃ、別のチャンネルに……します、よ」

 すんすん、くんくん。

唯「はあー。え? あ、うん。早く変えてちょーだい、あずにゃん」

梓「ひゃうう!?」

 首筋に息が! 唯先輩の息が!

唯「ん……どーしたの、あずにゃん? 寒いの?」

 ぞくりと寒気に思わず震えた私の身体を、改めて抱き直す唯先輩。
 声色が、ちょっと、意地悪な感じ。

梓「さ、寒くはないですよ、はい」

唯「でも、今、ぞくぞくって震えたよね? あずにゃん」

 くんくんくん。

梓「は、はぅ……それは、唯先輩が、変なとこに息をかけるからっ……」

唯「はぷっ」

梓「んにゃっ!?」

 首筋に、噛み付かれた。
 歯を立てられたわけじゃないから、痛くはないんだけど……その、何ていうか、気持ちいい。

唯「んむむ、はむはぷ……ちゅーぅ」

梓「にゃ、にゃにをするんですか、いきなりっ」

唯「……えへーぇ。あずにゃんのお酒臭い息を嗅いでたせいで、私も酔っ払っちゃったのかなあ?」

 そんな馬鹿な言い訳が通ると思っているんですか。
 ……っていうか。
 この背後から抱っこされた無防備な体勢、もしかして、ものすごくヤバいんじゃないのかな?

唯「あーん……はぷっ。んむ、ちゅ、あむっ」

梓「にゃああ!? み、耳っ、耳はっ、やっ、ちょ、唯先輩いいいいっ!?」

唯「あれ、耳は嫌だったかな、それじゃあ……んむっ、ん、んんっ……ちゅうううっ」

梓「ふああ、あっ……ま、た、首っ……あううっ、あっ、ひゃあん!」

唯「首も……嫌、なの? それじゃあ私、あずにゃんのどこにキスしたらいいのかな?」

 そんな、さっきまでの酔った時なら、お酒のせいに出来たのに。
 今されたら、何のせいにも出来ないじゃないですか。
 唯先輩ってば、本当に、意地悪……。

梓「き、キスするなら、最初にっ……お、お口に、してくださいよぉ……」

唯「んー? だってあずにゃん、お酒飲んだでしょ? キスして、まだお酒の匂いがしたら、嫌だし」

梓「もっ、もお、絶対に間違っても飲みませんから、だからっ……意地悪なこと、しないでくださいっ」

唯「ほんと?」

梓「唯先輩にキスしてもらえないなんて、つらいです……だから、特別に今日だけ……許してくださぁい」

 手足に力が入らない。
 喉から漏れるのは、私自身も信じられないくらいに甘えた声。
 首筋や耳を甘噛みされたっていっても、ほんの少しだけ。
 なのに、唯先輩のキスだけで、こんなに自分が気持ちよくなっちゃうなんて思ってもみなかった。

唯「……うん。酔っ払って、くてんってなったあずにゃんも可愛かったけど……でも、やっぱりお酒臭くない方が好きだよ、私」

梓「ん、く……」

 唯先輩の方を向く。
 私、息が荒くなってるけど……まだお酒臭いかな、許してもらえるかな。
 キス、してもらえるかな。

唯「……ちゅ」

梓「ん、んっ……はぁ……♪」

唯「オレンジ味だね」

梓「……お酒臭くて、すみません……」

唯「うん、まだちょっとだけアルコールの匂いがするけど……もう遅いし、寝よっか?」

梓「いいんですか?」

唯「寝ちゃったらきっとわかんないよ。さ、歯磨きして寝よ?」

梓「……はい」

 このまま寝ちゃうっていうのは、何だか納得いかない、けど。
 それよりも、唯先輩と一緒に眠れなかったら、もっと寂しい気分になっちゃいそうだから、私は頷くしかなかった。




いんざべっど!

 電気を消して薄暗い中、ベッドの傍に並ぶ。
 ええと、割と結構、緊張気味するもんですね。

唯「ね、ねえ、あずにゃん?」

梓「はい?」

唯「こういう時って、どうすればいいのかな? 横に並んで寝る? 私があずにゃんを後ろから抱っこ? 逆?」

梓「……お互いに正面で抱き合うってのもありだと思いますよ」

 うん、私としてはその方が望ましいっていうか、唯先輩の胸に顔を埋めて眠ってみたいです。

梓「あ、でも、身体の下に腕を回したら、起きた時にものすごくしびれてそうですよね」

唯「あ」

梓「はい?」

唯「その前に、あれしようよ! あれ!」

梓「あ……あれ!? す、するんですか? しちゃうんですか!?」

 いやいやいや!
 唯先輩がエッチしないっていうから、それっぽいことはされましたけど全然警戒してませんでしたから!
 ううん、でも、わざと私をむらむらさせてる節もあったし……最初からそのつもりだったのかな。
 そのお陰で、私も何だかおかしな気分だし……唯先輩となら、いいかも。

唯「おいで、あずにゃん! 部室じゃ出来なかったけど、ベッドの上で抱き合ってごろごろしよー!」

梓「ああ……はい。そうでしたねー、わぁい」

 両手を広げて私を誘う唯先輩の胸に、ちょっぴり残念な気持ちになりつつ飛び込む。
 すかさずぎゅっと抱き締められて、そのまま一緒にベッドに倒れ込んで。

唯「あーずにゃーんっ♪」

 ごろごろごろごろごろ。

梓「んにゅ……む、胸っ、はうう、予想以上に、押し付けっ……んむむっ」

 回転して唯先輩が上になる度、体重がかかって息が苦しいくらいにおっぱいを押し付けられる。
 鼻も口も塞がれて、唯先輩の香りを嗅ぐ余裕もないくらい、だけど、何故か不思議に素敵で幸せな気分。

唯「あずにゃん、あずにゃん、あっずにゃ~ん♪」

 ごろごろごろり、ごろごろり。

梓「あう、あうぅ……ゆっ、唯先輩……おっぱい、おっぱいが! もがもがっ」

唯「ふう……あり? どうしたの、あずにゃん? 元気ないよ?」

梓「い、いえ、違う意味で元気ですから、ご心配なくっ……ふー、ふーっ……」

唯「そお? んじゃあ、あずにゃんの感触をたっぷり堪能したところで、寝るとしますかね!」

梓「も、もうお終いなんですか……」

唯「明日も学校だし、寝坊したら大変だもんね」

 私的には、少しくらい苦しくてもいいから、もーちょっと唯先輩の胸で窒息していたかったなあと。
 ええ、まあ、窒息しない程度に抱き着いている分には、唯先輩も何だか嬉しそうだけど。
 ああ……好きな人とベッドに横になって向かい合うのって、妙な気分になっていちゃう。

梓「んふう、もふぅ~」

唯「んふふ、あずにゃんってば甘えん坊さんだねえ。もー、かーわーいーいーっ♪」

 もっと、おっぱいの感触を楽しんでいたい。
 私のそんな気持ちに気付いてくれたみたいで、唯先輩も私を優しく抱き返してくれる。
 う~ん、ふにふにもふもふ……やっぱり羨ま素敵ですよ、唯先輩。

唯「んぅ、んんっ、あふ……あずにゃんにこうやって甘えられるの、すっごく嬉しいよぉ」

梓「んみゅんみゅ、ふも……そ、そおですか、嬉しいですか……じゃ、も、もっとさせてください……んむんむっ」

唯「あ、待って。このまま寝ちゃってもいいように、お布団かぶろうね」

梓「はいですっ」

 ふにふにの胸が気持ちよくって、ぽやんとした気分になってくる。
 そうしているうちに、唯先輩が私の頭に手を伸ばし、優しくなで始めた。

梓「ふもふもっ、もふう……私もいつか、このくらいおっきなおっぱいになりたいです……」

唯「うん。そうなったら、今度は私があずにゃんの胸にもふもふさせてもらうからね?」

梓「はぁい……どぞ、遠慮なく……んみゅ、にゅむぅ……んぅ……♪」

 布団をかぶって密着した唯先輩の身体は柔らかいし、おっぱいなんて特に最高の感触。
 ちっちゃな子供を寝かしつけるように、そっと髪をなでつけてくれて、もう……とっても素敵な気分ですよ、本当に。

梓「んむぅ……おやしゅみなしゃぃ、唯しぇんぱ……んにゅ……すぴ……」

唯「……うん。おやすみ、可愛いあずにゃん」

 あったかいです。
 いい匂いです。
 やあらかいです。
 ……大好きです、唯先輩。

~おしまい!~



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