梓「……唯先輩。脚、開いてもらえますか」
唯「あ、脚っ? いやいやいや、私の脚なんてつまらないよ! あずにゃんをがっかりさせたくないよ!」

 びくうっ、と全身を硬直させて、何てわかりやすい反応をしてくれるんだろう。
 昨夜はちゃんと見せてくれたのに、今夜は見せたくないなんて、見られたくない状態になっているからとしか思えない。
 だからこそ、余計に見たくなってきちゃう。

梓「わ、わた、私も……ほら、太ももの、こことか、キスマーク。唯先輩もお揃いにしないとっ」

 今の私、ちょっとズルかった。
 膝を突いて、少しお尻を後ろに引いて、唯先輩からキスマークしか見えないようにしてた。
 でも。

唯「うっ、うん……そおだね、あずにゃんと、お揃いに……なりたい、よ」
梓「なら、脚……」

 どきどきが止まらない。
 私だけ一歩的かもしれないけど、すっごくエッチな気分になって盛り上がってる。
 今なら、この気分なら自然に言えそうだし、唯先輩も堪えてくれそうな感じ。

梓「脚を、開いてください……ゆっ、唯、おっ……おねぇ、さま」
唯「ふぷっ!? っは、はー、はあ……あ、あずにゃん?」

 ……かろうじて、踏み止まってくれたみたい。
 唯先輩の精神力かな、それとも……ううん、どっちでもいい。
 そう呼べることが嬉しい、から。

梓「……唯お姉様の、私以外の誰かに見られたら恥ずかしい場所に、恋人のしるしを付けさせてください」
唯「う、ん……付けて。あずにゃんにしか見せないとこに、恋人の、しるし……付けて欲しいよ」

 両膝に軽く手を乗せると、私は少しも力を入れていないのに、ハの字になっていた唯先輩の脚が開いてく。
 思わず視線が動く。
 唯先輩は、とっても恥ずかしそうな表情。
 両手でバスタブの縁に掴まりながら、でも、私のお願いを聞いて、ゆっくりとだけど。

梓「んくっ……と、とろとろ、ですね」
唯「うん……そうだよ。あずにゃんのキスが上手なせいで、私……とろとろに、なっちゃってるぅ……」

 触れなくてもわかるくらい、お湯とは違う液体が、唯先輩のアソコから垂れていた。
 ごくり、と大きく喉を鳴らすと、唯先輩がちょっとだけ脚を緊張させたのが膝から伝わってくる。

唯「わっ、私が特別にエッチなんじゃないと思うよ? きっと、誰でも、あずにゃんにこんなにキスされたら、こうなっちゃうんだよぉ……」
梓「……いえ。唯お姉様は、特別です」
唯「ふあ……!?」

 羞恥に羞恥を重ねて、深い紅色に染まった頬。
 それを隠そうとして、でもバランスを取れなくなって、だけど私に続きをして欲しいらしくて、やっぱりバスタブに掴まり直す、震える手指。
 私の想いを言葉にすると、唯先輩はもっともっと恥ずかしがってしまうだろう。
 けれども、その様子を見たいから、声にせずにはいられない。

梓「唯お姉様は、私の特別な人なんですよ? だから、エッチなことをしたくなるし……出来ちゃうんです」
唯「あ、う、あぅぁぅぅ……あずにゃん、そんなことゆうの……意地悪だよぉ……」
梓「特別な人にしか言わないんですから、特別な時くらい、特別に聞いてください」

 唯先輩が恥じらいを誤魔化す為に使った、『特別』という言葉をしつこく利用する私は、ズルいかもしれません。
 でも、昨夜は私だって唯先輩が相手だから、特別に覚悟を決めたんです。
 今も特別だと認めてくれたんだし、特別にエッチなことをして、特別にいやらしい声を聞かせてもらってもいい……ですよね?

唯「何か、今のあずにゃん、ちょっと……ううん、すっごくやらしい感じだね」
梓「どうとでもお好きにどうぞ。唯お姉様に比べたら、私なんて、エッチのエの字も知らない小物ですから」

 本来は透き通るように真っ白な内ももが、すっかり汗ばんで火照ってる。
 こういう肌に頬ずりするのも、気持ちいい。
 しゅりゅしゅりゅと、少しずつ脚の付け根へ顔を滑らせていくと、唯先輩が悲鳴に似た声で叫んだ。

唯「やああああああん! やだ、あずにゃん、もぉやだ、駄目っ、駄目だよお!」

 それが唯先輩の本心じゃないのは、バレバレです。

梓「……だったら、脚、閉じればいいじゃないですか」
唯「うっ……あぅ、そ、んな……あっ、あずにゃぁん……」

 見上げると、恥ずかしさを耐えながらも、『何か』を期待してる唯先輩の顔。
 薄く開いた唇からは、今にも涎が垂れてきそう。
 今度は私が膝立ちになって、伸びをして、その涎を吸い取る。

唯「あむ……ん、ちゅぅ……んんっ、は、は、んあ……」
梓「んっ、ちゅ……ちゅう、じゅる、んむ……ちゃんとしてあげますから、心配しないでください、唯お姉様」
唯「う、ん……」

 何をどうするのか、そこまでは言わない。
 私みたいに、イけないまま終わるのかな……なんて、やきもきして欲しいから。

梓「……まっちろくて、綺麗ですね」
唯「あっ、あずにゃんの脚も、綺麗だったよぉ?」
梓「それはそれは、どうもです」

 唯先輩の、ほんのり紅くなってる内もも。
 汗かお湯か、水っぽいぬめりがあるけども、頬を滑らせるとすべすべで心地いい。

唯「ぅんっ、あ、あぁ、ふぁ……」

 思わず唇を付ける。
 本当に私なんかがキスマークを作っていいのかな、って思うくらいに綺麗だけど、わざと音を立てて吸っちゃう。

梓「ちゅ……ちゅぷ、ちゅうううううっ、ちゅ、んむっ、ちゅっ、ちゅうっ……ちゅるっ、ちゅくく……」
唯「んきゅうううう! んあっ、あああ、あっ、んゃあああああんっ!」
梓「ちゅっ、ちゅ、くぷ……そういえば、片脚にふたつずつ、でしたよね?」
唯「ふ、ふぁあ……あと、みっつもするの……?」
梓「いえ。まだ付けてないですから、よっつです」
唯「……嘘だね。今の感じは、しっかりあずにゃんの唇の跡が付いた感じだよ」
梓「じゃあ、これとこれ。どっちが昨日のか、わかりますか?」

 たった今作ったばかりの、ふたつの真新しい鬱血痕を順番に触って、唯先輩の目線を引く。
 もしも間違えたりしたら、昨日の分と合わせて、倍のキスマークを付けるつもり。

唯「えへ……意地悪あずにゃん。昨日のは、ここと、ここ、ここに、ここで、あとここも……」

 唯先輩は片手を挙げて、消えずに残っている胸元のしるしを、正確に指し示した。
 残念ながら、完全正解。
 『脚にはキスされてないよ』って言うだけでよかったのに……全部、覚えてくれてたんだ……。

梓「はい。正解のご褒美です……ちゅぅ、ちゅうううっ、んちゅ……ふぅ、ん、はふ……ちゅちゅっ、ちゅうっ、ちゅぷ」
唯「ひゃああああああぁんっ!? あ、当たったのに、ご褒美がキスなんて聞いてないよぉ!?」
梓「ちゅう、くちゅ、んっ、んく……あれ、別のご褒美が欲しかったんですか? なら、そう言ってくれればよかったのに」
唯「いっ……いじめられてる! 私、あずにゃんにいじめられてるんだねっ!?」

 いじめるというか、何というか。
 どっちに転んでも似たようなものでしたけど。どうしてほっこりした顔なんですか、唯先輩。

唯「ま、まだ正解じゃないよ! 最後のが残ってるもんね! ほらここ……首の! これが!」
梓「……さすがにそこを忘れられたら、ご褒美じゃなくて、お仕置きな気分になってたかもしれないです」

 自信たっぷりに、首筋の一番濃ゆいキスマークを示す唯先輩へ、新しいご褒美です。
 ご褒美のみっつめに続いて、ご褒美のご褒美な、よっつめのしるし。

唯「んぅっ、あっ、ああっ! ふ、ふうっ、ぁぅ、ぁあ……はぅんっ」
梓「あぁ……こっち側にも、ふたつ付けないといけなかったんですよね?」

 ぴくっ、ぴくんと足先から肩まで震わせている唯先輩に、わざとらしく言った。
 私と同じだ。
 私はお預けされちゃったけど、唯先輩も、もうすぐイきそうな感じになってるのかもしれない。

唯「……あずにゃん、すっごい意地悪そうな顔してる……」
梓「意地悪って言われると、余計に意地悪したくなりますね」

 ちゅ、と反対の脚に唇を付ける。
 こっち側も綺麗なのは勿論、お湯や汗に濡れていて、頬ずりをすると滑らかで心地よくて、堪らない。

唯「んっ、きゅ……あずにゃんっ、するなら、早くして頂戴よぉ!」
梓「……しようかな、しないかな、どうしようかな? 唯お姉様は、どうして欲しいんです?」
唯「ううっ……は、早く、ちゅーってして、キスマーク付けて欲しい……よ」

 多分それ、半分未満すら正直に言ってないですね。
 似たような思いをさせられたから、ちゃーんとわかってるんですよ?
 だから、私は引き伸ばしたりしないで、すぐにしてあげちゃいます。

梓「ん……ちゅう、ちゅ……んふ、んっ、ちゅむ……ちゅっ、ちゅううううっ」
唯「あっ、ああああっ! んぁ、あぁっ、あず、にゃぁん……♪」
梓「こっちの脚には、もうひとつ……ううん、ふたつ付けないとですね……ちゅぅ。ちゅっ、ちゅちゅ、んちゅう……ん、ちゅ」

 脚の付け根のギリギリ、唯先輩のアソコに頬が触れないように狙って口付けた。
 触れてもらえないからこそ感じちゃう、ということをわかってもらうのです。

唯「ひゃ、あぅ、あうぅぅ……んんっ! んく、はぅ、あ、ああ……」
梓「ん~……ちゅ。はい、お終いです。これで、両脚のキスマークの数、同じになりましたよ?」

 私より一個ずつ多い両脚の紅い斑点、恋人のしるし。
 こんなモノの数で『好き』の大きさが決まるとは思ってないけど、喜んでもらえるなら、いくらでも付けてあげたい。

唯「ま、まだ、最後の、してもらってないよぉ……?」
梓「むっつ、付けましたよ。私の時は、いつつでしたから……今度は、唯お姉様にしてもらわないと不公平です」
唯「わっ、私も、むっつ、付けた……」
梓「ちゃんと数えてました。唯お姉様はいつつ、私はむっつ」

 いつから数えて、いくつまでキスマークを付けるのか。
 そういう約束はしていない、数には下限も上限もないから、私の気の向くままに出来る。
 けれど、ベッドの上でエッチした時の、私との記憶が強いみたいで、唯先輩は無意識に『いつつ』にこだわってる。

唯「そ、それじゃあ、あずにゃんと同じとこっ……私の首筋には……恋人のしるし、付けてくれないの……?」
梓「え? 付けますけど? それははっきり約束しましたから……鏡の前で、恥ずかしがってるとこを見ながら、って」
唯「ん、んく……」

 唯先輩の腰――お尻に近い方、を抱き寄せると、危うくバスタブから滑り落ちそうになった。
 危ういところで抱き留めて、肩口から首筋に舌を這わせながら、もっぺん座ってもらえるようにお願いする。

唯「あっ、あずにゃぁん……何か、あずにゃんがしてくれること全部、いちいち気持ちよくって、変になりそぉだよっ」
梓「私は唯お姉様を変にしたくて、変になったお姉様を見たくて、こんなエッチぃことしてるんですよ?」

 お湯。ほんの少ししょっからい汗。お湯で薄まってほとんど味のしない汗、無味のお湯……もしかしたら、私の唾液。
 美味しい、と思うのは、唯先輩よりも先に、もう私がとうに変になっているから、なのかも。

梓「はい。どうぞ、唯お姉様。約束通り、首筋にキスしますから……ここに座ってください」
唯「うっ、うん……」

 そっと送り出すようにお風呂の椅子に座らせてあげたら、意外と大人しく、ちょこんとしてる。
 ……してるっていうか、されるのを待ってるんだ。
 私が『唯お姉様』って呼ぶ度、鏡越しに眉尻が下がってるのが見える。

梓「唯お姉様」
唯「うん」

 ほら。
 唯先輩の背中に、薄い胸を当てて抱き締めたら、にへー、と唇をだらしなく緩ませちゃったりして、んもう。

梓「ん……ちゅ、ぴちゅっ」
唯「ふぁ……んん、あずにゃん、あったかい」

 そこは嘘でも『柔らかい』とか言って欲しかったですけど、自分でわかってますからいいんですよ、ええ。

梓「……唯お姉様。ほら、鏡、見てください。教えてくれないと、きちんと出来ません」

 くもったガラスにお湯をかけて、視界を確保。
 すると、唯先輩がまた、やーらしく、にへっと微笑んだ。

唯「……上目遣いのあずにゃんも、エッチくて、すっごくかぁわいーねっ」
梓「うく……じっ、自分を見つめ直してくださいっ!」

 唯先輩の肩に、軽く噛みつく。
 うん、顔を隠す為の照れ隠し。

梓「はぷ、ちゅうう……うううっ……そんなことばっかり言ってたら、いつまでもキスマーク付けてあげられませんよ?」
唯「……んじゃ、ちょ、ちょこっと……上、かも」
梓「あむ。んちゅ、ちゅ……んぁ、はぅ、れろっ……こ、ここです?」

 全然違う場所を指定されたけど、吸ってあげる。
 首筋には違いないんだけど、鏡に映った私のキスマークとは、上下も左右も合わない。

唯「そっ、もっとそっち、あずにゃん……きっと、そこ」
梓「んむ、ちゅっ、ちゅぅ……ここ……ですか?」
唯「っあ、やっぱし、ちょっとズレてるかもぉ……も少し、右かな?」
梓「んちゅ、ちゅる、はむ……ここで、いいです?」
唯「あ、う、違う……左側、だったよ……えへへ、鏡写しだから難しいねぇ」

 わかってるくせに。
 ベッドで私がわざと数え損ねたのを知ってて、同じことしてるんですよね。
 終わりたくないから。
 気持ちよくて、もっと続けて欲しくて。

梓「んるっ……ちゅぷ、んふぅ……正直に言わないと、大体の見当で合わせちゃいますよ?」

 唯先輩のお腹に回していた腕を、上と下に動かしていく。
 上は、勿論おっぱい。
 下は……勿論、アソコ。

唯「ふきゅ、ん、あっ……あぅ、あぅぅぅぅ……そんな、あずにゃぁん……」
梓「あむっ、はぷぷ……ん……かぷ」
唯「そっ、そこより、ふた口分、上で……ふあ! あんっ、やあ、ああっ……てっ、手前には……ちょっと、わかんない」
梓「そおですか。わからないなら、少しずつ確かめるしかないですねぇ」

 私達の目の前には鏡があるのに、白々しい。
 唯先輩のおっぱいと股間に、それぞれ私の手が伸びてるのに……ほぉんと、白々しいったら。

梓「……唯お姉様のおっぱい、もっとキスマーク付ければよかったですかね」
唯「ううん。ひとつひとつ、あずにゃんの気持ちがこもってて、やたらめったら付けられるより嬉しいよ~」
梓「脚、も……折角だから、ハートの形になるように、やり直してもいいですか?」
唯「っ……そ、それは魅力的なお誘いだけどね、うんとね、えっと……次……今のが消えちゃったら、思いっきり……して欲しい、な」
唯「ハート、嫌いでしたっけ?」
梓「違うよ。あずにゃんが、初めて付けてくれた『しるし』だから、だから……大切にしたいんだよ」
梓「唯、お姉様ぁ……」

 ほんの数日で消えちゃう『しるし』。
 なのに唯先輩は、うっとりとした表情で、脚の付け根の鬱血をさする。
 その仕草が嬉しい……から、じわじわと。
 唯先輩の特に感じやすい範囲に、唯先輩の指先を避けて、触れた。

唯「きゅふんっ!」

 私の指が、粘つく音を立てる。
 正確には、唯先輩のアソコに触れて、愛液がにちゃりと鳴った。

唯「ひゃら、んゃっ、やーね、もお……い、いきなり触っちゃ、やーだよぉ、あずにゃんっ」
梓「触るとこ、鏡でしっかり見てるたくせにぃ」

 割れ目をなぞると、指を伝って掌に垂れてくるくらいに、濡れてた。
 刺激に上ずった声で誤魔化そうとするけど、唯先輩、全然誤魔化せてないです。

唯「んんっ……あ、あずにゃんは、やぁらしくて、意地悪だよね、ほんと……」
梓「唯お姉様の方が、もっと意地悪じゃないですか。さっき、私をイかせてくれませんでしたし」

 やらしいというのは、否定しないし、出来ない。
 だって私、今すぐに唯先輩の中へ指を入れて、はしたくあえいでみせて欲しいと思ってるから。

梓「ほら。唯お姉様のエッチなおつゆ、内側から、とろって零れてますよ……また、簡単に奥まで入っちゃいそうですね?」
唯「んあああああっ!? あっ、あ、あぅ、指っ……あずにゃん、まだ指駄目ぇ、はぅっ、ん、ぅうんっ!」

 指先が膣内に入り込んだ途端に、舌で舐められるような、それでいてきゅうっと強く締め付けられるような気持ちよさに包まれた。
 どうしよう、私が指を挿入した側なのに、指だけでこんなに気持ちよくなっちゃうなんて。

唯「ふああああぁ、あぅ、やぅ、奥ぅっ、入ってきちゃうっ!あずにゃんの指がぬぷぷって入ってきてるよぉっ!」
梓「ん……もっと、奥に入れます……んんっ……ふぅ、ふ……」

 頭まで振って身悶えする唯先輩をしっかりと抱き締めながら、更に深く指を差し入れる。
 ねっとりと絡み付くような細かい凹凸の抵抗感はあるけど、たっぷりのぬめりのお陰でスムーズに入ってく。

唯「あああぁ、あっ……ああ……んっ、ふぁあっ、はぅんっ! んんんっ! ひゃう、ひゃぁぁぁ……!」

 ぞくぞくっと快感に震える首筋へ、唇を付ける。
 何かで気を紛らわせないと、指に夢中になって、約束を守れなくなりそうだったから。


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最終更新:2010年12月30日 23:10