おふろ!

かっぽーん。

唯「…………」
梓「…………」
唯「え、えーと……あんなことしたのに、改めてお風呂だと思うと緊張するね、あはー」
梓「私まで恥ずかしくなるし、身体が冷えちゃうから入りましょうよ」
唯「うん……」

 ベッドからここまで、手を握ったまま。
 お互いの汗を感じながら、エッチの余韻で気持ちよくてふらついて、支え合いながら。
 ……交互に入った方がよかったかもしれないけど、もう、戻れなさそう。
 唯先輩は私の手を放してくれないだろうし、私も、放したくない。

唯「ねえ、あずにゃん……どうする?」
梓「はい?」
唯「どっちが先に身体洗う?」
梓「…………」

 『洗いっこ』って言ったハズ。
 なのに、どっちが先かって……唯先輩、私をエッチく洗って、骨抜きにする気満々じゃないですか。

梓「とっ、とりあえず、シャワーで軽く汗を流しましょう」
唯「うん」

 唯先輩が動こうとしないので、私が先にお風呂椅子に座る。
 ちょっと、お尻がちべたい。

唯「あずにゃんの髪、洗ってあげたい……」
梓「はい? 長いから、結構面倒ですよ? シャンプーも一回分じゃ足りないですし」
唯「ううん。大丈夫だから」

 さっきも洗ったし、汗とか……その、何だ、汁類を洗い流すだけで済ませるつもりだったんだけど。
 唯先輩はそんな私には構わず、シャワーで髪を満遍なく濡らした後、シャンプーをちゅー、ちゅ~。
 冷たいけれど、火照りが静まる程じゃない。

唯「そんじゃ洗うよ~」
梓「はい、お願いします」

 少し待っていると、頭皮に唯先輩の指が触れる。
 わしゃわしゃわしゃと、ちょっと雑な気もするけど、痛い程じゃない。

唯「ふふ~ん♪」
梓「…………」

 何だか、ちょっと、いい感じ。いい雰囲気で、いい気分。
 美容室みたいな丁寧さはないけど、優しく私の髪を洗ってくれようとする気持ちが伝わってくる。

唯「お客様ぁ? かゆいところはございませんか?」

 唯先輩がふざけて予想通りの声をかけてきた。

梓「唯先輩のつむじの3センチ右がかゆいです」
唯「ええ!? さ、3センチ……右、こっち……」

 唯先輩は真に受けたのか、自分の頭頂部に手を伸ばそうとした。
 でもすぐに腕を戻して、可愛らしく頬を膨らませながら、またわしゃっと洗髪を再開してくれた。

梓「ふふっ」
唯「んもー、あずにゃん。私のかゆいところじゃなくて、あずにゃんのかゆいところを聞いたのに」
梓「そうだったんですか。じゃあ、特にないです」
唯「ぶー」
梓「それに、さっき入った時にちゃんと洗いましたから、もう流しちゃっていいですよ」
唯「え? 髪の先まで洗っちゃ駄目なの?」
梓「駄目ってことはないですけど……うう、わ、わかりました。続きをお願いします」

 そんな叱られた子供のような目で見つめないでください。
 そうでなくたって、私が唯先輩のお願いを断れるわけがないのに。

唯「わーい♪」
唯「あずにゃんの髪、あずにゃんのかーみ♪ なぁがくぅてさーらさらっ、あずにゃんのかーみは綺麗だよっ♪」
梓「壊滅的な即興曲ですね」
唯「ううっ……ベッドではあんなに燃え上がったのに、あずにゃん何だか冷たい……」
梓「アレはアレ、今は今です」
唯「あずにゃんがこんなに育っちゃうなんて……どこで間違えたんだろうねぇ、おいおいおい」

 唯先輩に育てられた覚えはないですけど、影響を与えたのは確実に唯先輩ですよね。

梓「あ、そろそろ流してコンディショナーお願いします」
唯「うん……もこもこ泡で、あずにゃんがソウルフルな感じで面白いけど……流すよ……」
梓「どうして残念そうなんですか、マイソウルシスター」
唯「あ! それいいね! ソウルシスター! 私とあずにゃんはソウルシスターズだよ!」

 唯先輩は今の何が気に入ったのか、機嫌よさそうに鼻歌を鼻ずさみながら、シャンプーを洗い流す。
 コンディショナーは泡が立たないせいか、おふざけもなく黙々と髪の先まで馴染ませてくれた。

梓「髪の先もOKですか? 唯先輩」
唯「うん! 丹精込めて頑張ったよ~」
梓「どうもです。それじゃ、すぐ洗い流してください」
唯「え? もうコンディショナー流しちゃうの?」
梓「え?」
唯「コンディショナーって、しばらく浸透させなくていいの?」
梓「……私の記憶が確かなら、髪の表面をコーティングするのが目的なので、すぐに洗い流すのが正しい使い方だったかと」
唯「そっかー」
梓「もしかして、使ったことないんですか」
唯「あるけど。二回もシャンプーと同じ手間かけるの面倒だし、滅多に使わないよー」
梓「それなのにこの髪質……こ、今度からはなるべく使うように心がけてくださいっ」
唯「えぇ~?」
梓「そ、その方が、唯先輩の髪……触ったり、顔埋めてもふもふしたりする時……感触も香りもよくなるハズなのでっ」
唯「はっ!? あずにゃんと私の髪って触り心地が違うと思ってたら……そうか! そういうことだったんだ!?」
梓「はい。ではでは、次は私が唯先輩の髪を洗ってあげるです」
唯「う、うん……今までの自分を否定されたような気分だけどね……」

 位置を入れ替えて、今度は唯先輩の頭をシャワーで濡らす。
 シャンプー、シャンプーっと……。

梓「……んくっ」
唯「あずにゃーん? どおしたの?」
梓「い、今すぐ洗いますから! 何でもありませんっ」

 ほこほこの湯気に見え隠れする、唯先輩のうなじ……舐めたい触りたいしゃぶりたい……。
 ううん、そんなことは後でも出来る。今日はもう遅いし、早めに上がって寝ないと、ね。

 シャンプーちゅちゅちゅ、ちゅーっと。
 そんでもって、わしゃわしゃ……結構気を遣うなあ、コレ。
 でも、私に比べて短い分、断然洗いやすくて楽かもしれない。

梓「お客様のかゆいところは……確か、つむじの3センチ右でしたよね」
唯「そこは最初っからかゆくないよ、あずにゃん!?」
梓「わかってますよ、ふふふっ」

 なぁんて言いながら、泡をわざと顔の方に垂らしたり、首筋近くの生え際を無駄に執拗にこすり洗ったりする。

唯「あうーん。あずにゃん、洗うの下手っぴだよ~」
梓「あ、すみません。わざとやってましたが気付かれましたか」

 泡が目に入ったらしくて、手でこするわけにもいかず右往左往する唯先輩。
 調子に乗りすぎた、と反省しつつ、慌ててシャワーで泡を流してゆく。

唯「ふぃ~……あずにゃん、洗面器にお湯頂戴」
梓「はい、どうぞ」
唯「ん、ん……ふう。あずにゃんの悪戯のせいで失明の危機だったよ」
梓「失明には至らなかったと思いますけど……すみませんでした。今度はシャンプーハットを用意しておきます」
唯「いいよいいよ、大事にいたらなかったんだし……さ、次はいよいよ身体の洗いっこだね!」
梓「その前にコンディショナーです」
唯「はうう、めんどっちぃよぉ~」

 私が普段使う量の半分以下で、唯先輩の髪をしっとりコンディショニング中。
 こうしてみると、私ってかなり贅沢なお風呂環境だなぁ……かといって量は減らせないし、髪も切りたくないし、うぅんアンヴィヴァレンツ。

唯「はぁー。コレやってると、後で髪がさらさらふわってなりそうな気分だよ」
梓「なりますよ。唯先輩は私より髪質よさそうですし、主にシャンプーだけだったのに、信じられないくらい髪の状態もよかったですし」

 何だか悔しくて、唐突にシャワーをかけてしまう。

唯「はぷぁ!? ちょっ、あずにゃん、さっきから意地悪だよっ、どおしたのっ!?」
梓「あ、いえ、特に意味はないんですけど……唯先輩が困っているのを見ると、ちょっと、胸がどきどきして……」
唯「も、もぉ止めて、わかったよ、あずにゃんの気持ちはわかったからっ」
梓「とても伝えきった気がしません」
唯「ほっ、ほんとに、止めてくれないとっ……め、愛でてあげないよっ!?」
梓「め……?」

 『愛でてあげない』って、それは私の望むところではないんだけど、え?
 このタイミングで言うってことは、何か別の意味があるの?
 それとも言葉通りで、抱き着かれたりキスされたり……してもらえなくなっちゃうのかな。

梓「……止めるので愛でてください」

 シャワーの勢いを弱め、唯先輩の髪をすくうように手に取って、コンディショナーを洗い流してゆく。
 あっちも、こっちも、ちゃんと目に入らないように気を付けながら。

唯「んふー……最初から今みたくしてくれてたら、目が痛くなったりしなかったのになあ」
梓「何分、私以外の人を洗うのは初めてなので……あと、ちょっと調子に乗ってました」
唯「うん、いいよいいよ。途中はどうあれ、さっぱりしたから……で、ね」
梓「んくっ……は、はい……洗いっこ、ですよね……」

 期待を込めて言う唯先輩。
 わかってます。けど、何をされるかわからなくて、不安で、先延ばしにしていたんです。

唯「髪みたいに普通に済ませようか? それとも、それ、とも……」
梓「唯先輩?」
唯「おっ、おねいさんが~、こ、こっ、子猫ちゃんを、身体の隅々まで綺麗にしてあげるわよ?」
梓「うわぁ……全力でお断りします」
唯「冗談だよぅ~、せめて身体中をボディソープまみれにして、あずにゃんとぬるぬるネチョネチョな感じで洗い合いたいんだよぅ」

 ちょっと想像してみる。
 ぬるぬるで、ネチョネチョ……あ、あんまり長く堪能しなければ、大丈夫かな?

梓「さっ、先に言っておきますよ、唯先輩。洗いっこの間、エッチなことは禁止です」
唯「う、うん、滑って転んだら危ないしね!」

 その割に、今し方早速滑ってましたけどね。

梓「変な気持ちになっても我慢してください。私も我慢するのでお互い様です」
唯「うう……努力してみるよ……」
梓「で、ですね……洗い終わったら、一緒に、その……一緒に、湯船に、浸かりたいなあ……とか」
唯「…………」

 あ。
 これは身体を洗い終わってから言った方がよかったかもしれないです。

唯「あーずにゃーん! 喜んで入るよ、むしろあずにゃんが嫌がっても無理矢理一緒に入るからねっ!」
梓「だっ、だから、身体を洗い終わってからですっ! 落ち着いてくださいっ」

 って言っても、私だって行為を想像すると、今更ながら興奮して堪らなくなってきた。
 ええと、ボディソープ。普通の石けん。迷うことなくボディソープを手にする。

梓「えい」

 びゅっ、びゅ、びゅーっ。

唯「ひゃぁ、冷たいよぉ~」
梓「……なっ、何だかエッチぃですね、コレ……」

 実物を見たことはないけど、耳年増だから知識としては知っている。
 たまたま色も似てるし、ボディソープがとろりと唯先輩のおっぱいやお腹を伝って垂れて、まるで……その、アレ……みたいで。

唯「うん? どうしてエッチぃのかな?」
梓「んっ、そ、それは……ですね……」

 唯先輩はまるでわかっていない様子で、胸元を伝う濁液を指ですくい取ってみせる。
 ああもう、実は知っててやってませんか、唯先輩?

唯「ねぇあずにゃん、もっと一杯かけてよぉ」
梓「ぶふっ!?」
唯「もっともっと出して、沢山かけてぇ~! そのどろどろを全身にぶっかけて、私をあずにゃんまみれにしてっ!」
梓「……私がエッチぃって言った理由、思いっきりわかってるじゃないですかっ!」

 えい、えいえいえい、えいっ。
 ポンプを激しく上下させて、たっぷりと唯先輩に白濁液を浴びせてやる。

唯「やあんっ、あずにゃんが白いのを一杯出してるぅ~♪」
梓「そっ、そういう言い方止めてくださいっ」

 量はもう充分。これ以上唯先輩にからかわれないうちに、身体を洗ってあげてしまおう。
 ええと……唯先輩はタオル派? スポンジ派? どれ使おうかな?

梓「あの、唯せんぱ」
唯「あ~ずにゃんっ!」
梓「いひゃぁぁ!?」

 背中に突然、あったかくて、ぬるんぬるんしてて、それでいて柔らかい感触が押し当てられた。
 考えなくてもわかる。
 唯先輩がたっぷりのボディソープを塗り広げて、棚の方を向いている私に抱き着いてきたんだ。

唯「んふう……やだ、これとっても気持ちいいよぉ……」
梓「んくっ、んんっ……はう、ゆ、唯せんぱぁい……は、なれて、ちゃんと洗ってあげますからぁ」
唯「ううん、私があずにゃんを洗ってあげるよ。ほら、こうやって……んぁ、え、えへぇ……気持ち、いい?」

 ぬるりゅん、ぬちゅのるんっ。
 唯先輩のふたつの幸せスポンジが、私の背中を優しく圧迫しながらこすれ合ってる。
 ボディソープがネチャネチャといやらしい音を立てて、かと思えば唯先輩の泡まみれの手が私の胸やお腹にも伸びてきて、ヤバい。

梓「んっ、ふううっ……ゆ、唯、せんぱいっ……エッチなこと、禁止って言ったハズですっ」
唯「私は、あずにゃんの身体を……ふぁ、あん……洗ってる、だけ、だよ?」

 お湯に濡れたほっぺをぴっとりくっつけてきて、上ずった声でそんなことを言う。
 コレのどこがエッチじゃないんですか、唯先輩。

唯「んふふ~♪ あずにゃんのおっぱい、すべすべ~♪ お腹もぷにぷに~♪ あったかくって、ちっちゃくって、かーわいい♪」
梓「お、おっぱいすべすべで、お腹ぷにぷにだと、私まるで残念体型じゃないですかぁ」
唯「ちっとも残念なんかじゃないよぉ? んちゅ、ちゅっ、ちゅちゅ」
梓「やん、んふ、あ、あっ……んんっ……んぁぅ、はぅ、あぅぁぅ……」

 まだ石鹸のぬめりのない首筋、顎、頬。
 私がベッドでやったように、軽くだけど何度も何度もキスされる。
 唯先輩と触れている部分が全部あったかぬるぬるで、意識がぼうっとしてきてる。
 何だか、このまま唯先輩にお任せしちゃってもいいかな……なんて、思っちゃう。

唯「ふちゅ、ちゅっ、ちゅむ、ちゅ……あずにゃん、大好きだよぅ……ちゅっ、ちゅちゅっ、ちゅぅ」
梓「は、はぁい……私も、唯先輩、大好きですよ……んっ、あ、はぅんっ、んんっ」
唯「おや。やけに大人しくなりましたな、あずにゃん殿」
梓「……も、もお、唯先輩に、されるがままっていうのも、いいかと思いまして……」
唯「ありゃ? もっと抵抗すると思ってたのに……ま、っか」

 唯先輩の指先が、私のささやかな胸の上で存在主張している乳首を、引っかくように動く。
 もう片方の手は、お腹から脇腹に滑って、腕へと移動してくる。

梓「んふっ、ふあ……! あっ、あああ、だ、め、唯先輩、乳首っ……ふぅぅぅぅんっ!」
唯「えへへ……どおして駄目なのか、教えてくれたら止めたげるよ?」
梓「……や、止めて欲しいなんて、言って、ません、よ……気持ちいい、です、し……」
唯「うわ。あずにゃんってば本当にエッチだね、唯お姉様は嬉しくてハナチが出そうだよ」
梓「い、いいから、続けてください、唯……お、お姉様」
唯「っ……は、あ、あふ……あずにゃんっ!」

 ぎゅううううう、っと思いきり抱き締められた。
 けど、ボディソープのせいで、唯先輩と肌同士がぬるぬるとこすれて滑って気持ちよくて、ぞくっと身震いしてしまう。

唯「はぅ、はぁ、うっ……ご、ごめん、あずにゃん。ちょっと、あ……ご、ごべんっ」
梓「はい?」

 ぼたり。
 太ももに何かが落ちた感触。目をやると……赤い、雫。

梓「…………」


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