──

律「ゲーセンの後と言えば」

純「駄菓子屋ですよね!」

律「見よ! このうまー棒の食べ方!」スポーンサクサクサク!

純「なんの! このただ一つの変わらない純の吸引力!」チュルチュルチュル

駄菓子屋のおばあちゃん「二人とも元気でええのう」

純「元気だけが取り柄みたいな人ですから! 律先輩は!」

律「なんだとぉっ!? 純だって同じもんだろうっ!?」

駄菓子ばあちゃん「どれ。仲がいい若者二人にサービスしてやるかのう」

律&純「ありがとうおばあちゃん!」

駄菓子「ほっほっほ」

律「は~遊んだ遊んだ」

純「ですね~」

駄菓子屋に設置されているベンチに座りお菓子を食べる二人。

気づけばもう日は随分と傾いており、早いところではそろそろ晩御飯が出てきてもおかしくない時間帯だ。

律「ごめんな、何かこんな遊びばっかりで」

純「いえ、わたしもこういう方が好きなんで。楽しかったです、凄く」

律「そっか」ニシッ

純「(こんなにいい先輩がいるなら軽音部に入っとくんだったなぁ)」

律「また遊ぼうな、純ちゃん」

純「はい、是非! 次は負けませんよ! 太鼓の鉄人」

律「わたしもベースマニア練習しとくよ」

純「……ふっ、ぷははは」

律「ぷっ、つ、あははは」

律「家まで送るよ」

純「一人で大丈夫ですよ」

律「だーめ。女の子の一人歩きは危ないんだぞ!」

純「律先輩だって女の子じゃないですか」

律「わたしはドラムで鍛えたこの筋力があるからだいじょーぶ」

純「あはは、じゃあ途中までお願いします」

律「任せとけい!」

純「(本当にいい先輩だな。今度梓が律先輩の悪口言ったら口つねってやるんだから)」ニヤニヤ

律「な~にニヤニヤしてるんだよ純」

純「何でもないですよー」棒読み

律「なんだそれ」ププッ

人と人はどこから仲良くなるんだろう?

律先輩が言ってた言葉だ。今日それがわかるかもって思ったけど、やっぱりわからなかったや。

純「(だってほんとにいつの間にか仲良くなっていたからっ!)」


──

憂「さっきはすみませんでした」

澪「いや、いいよ。いい話だったよね」

憂「はい! 犬のヌペがけなげに頑張るところとか凄い可愛かったです! 今度お姉ちゃんとも見ようっと」

澪「……」

憂「あっ、すみません(今は澪さんがお姉ちゃんなのに…)」

澪「唯が羨ましいな。憂ちゃんみたいな可愛くてしっかりした妹がいるなんて」

憂「そんな……私なんて」

澪「……、さて! 次はどこに行こっか? 服でも買いにいく?」

映画の時間は勿論、映画が始まるまでの待ち時間も含めて時刻は結構なものになっていた。

憂「(洗濯物はお姉ちゃんに頼んでるけど大丈夫かな…?)」

憂「(取り込もうとしてお布団と一緒に落ちたり……)」ソワソワ

澪「憂ちゃん?」

憂「(晩ご飯も作らないとお腹減ったよ~って泣きながらうい~って言ったり……)」ソワッ……ソワッ……

澪「(……そっか)」

澪「帰ろっか、憂ちゃん」

憂「えっ? ま、まだ大丈夫ですよ! それでどこに」

澪「唯が心配なんだろ?」

憂「……はい。お姉ちゃん無理しちゃわないかやっぱり心配で……。こないだ梓ちゃん達と遊んでて遅くなったら私が料理作るよっ!
って意気込んだのはいいけどお鍋が一つご臨終に……」

澪「唯らしいな」

憂「お鍋はいいんですけどお姉ちゃんが心配で……」

澪「(やっぱり本当の姉妹には勝てないな。気まずさを無くすためだけにこれ以上連れ回すのも悪いし、残念だけど姉妹ごっこはここまでにしよう。
本当に残念だけど……ね)」

澪「送るよ」

憂「澪先輩の家逆方向じゃないですか? いいですよ、一人で大丈夫です」

澪「……もうちょっとだけ、もうちょっとだけ姉妹でいたいから。途中まで一緒に帰ろう。憂」

憂「…うんっ! お姉ちゃん!」


夕日を背に隣同士仲良く歩く姿は、どこから見ても仲の良い姉妹そのものだった。


──

和「昔唯と砂の橋を作ってね。作ったのはいいのだけれど唯がみじゅが流れてない! とか言い出してさ。でも公園の水道は遠いし水を汲むものもなかったの」

和「それで唯どうしたと思う?」

梓「どうしたんですか?」

和「あの子ったら家からホースを引っ張って来て憂に蛇口開けさせてさ。ホースが道路を横断してたわ」

梓「プッ、唯先輩らしいですね」

和「それで砂場水浸しにして砂の橋も水没した後近くのおばさんに怒られて、唯はその後お母さんにも怒られたらしいわ」

梓「唯先輩のお母さんってすっごく興味あります!」

和「梓達は知らないんだっけ」

梓「はい、いつも留守で」

和「唯のお母さんは普通の人よ」

梓「へ~意外です」

和「ただお父さんが……ね。何と言うか……すっごい唯に似てるわ」

梓「唯先輩はお父さん似なんですね……」

和「顔は両方母親に似てるのに性格はしっかり分裂したみたいね」

梓「やっぱり幼なじみは違いますね! 唯先輩の知られざる真実がどんどん明らかになりました!」

和「まあね。付き合いだけは無駄に長いから。……そろそろ出ましょうか。唯の話してたらすっかり遅くなったし」

梓「そうですね。お代わりしまくったせいか店員さんの目もそろそろ痛いですし」

結局お代は仲良く割り勘となり、二人は喫茶店を出た。

カランカラン、アリガトウゴザイヤシターッ!

和「まだ私は時間大丈夫だけれど……梓ちゃんは?」

梓「私も大丈夫ですけど、今日はもういいです」

和「あら残念」

梓「真面目な受験生をこれ以上連れ回すのも悪いですし」

和「真面目な後輩を連れ回すのはいいのかしら?」

梓「それはいいんじゃないですか? 暇ですから」

和「ふふ、じゃあお言葉に甘えて連れ回したいところだけど今日はやめとくわ。遅くなると弟と妹が心配するしね」

梓「弟さんと妹さんがいるんですか? 初耳です!」

和「その話はまた今度ね、駅まで送るわ」

梓「はい、ありがとうございます」


──

駅前

律純「あ」

澪憂「あ」

梓和「あ」

綺麗にあ、が重なった。

律「(やっぱり他のやつらも動いてたか! しかしまさかこの組み合わせとは……)」

澪「(やっぱり唯とムギは動かなかったか。あの二人は自分の醸し出す空気で何とかしちゃうからな。しかしこの組み合わせは……!)」

梓「(律先輩と純が仲良く歩いてるなんて何かありそうだけど信じらんない! 澪先輩と憂はどことなく姉妹っぽいけどこの組み合わせは……)」

律澪梓「(正直気まずい)」

律「(憂ちゃんと澪とか絶対気まずかったろ!! よく遊ぶ気になったなおい!)」

澪「(梓と和が一緒にいるところなんて想像もつかないな……正直。今目の前にいるけど)」

梓「(律先輩と純、律先輩と純ププッ)」

和「また珍しい組み合わせね」

和は全てわかっているように、

純「梓が和先輩とって……プフ-ッ似合わない似合わない」

純は特に気にした様子もなく、

憂「(みんないつの間にか仲良くなってたんだね~)」

憂はいつも通りに、

そして、三人は

律「(明日覚悟しとけよ?)」バチバチ

澪「(せいぜいがんばって優勝してくれよ? 律ぅ)」バチバチ

梓「(私を忘れてもらっちゃ困りますよ、センパァイ?)」バチバチ

激突する!!!

明日、頂上決戦!!!

気まずさ選手権! リベンジマッチ!
和、純、憂参戦編

気まずさよ、天高く舞え!




翌日の放課後!

律「いよいよ来たか……この時が!」

澪「まさかこんな長丁場の戦いになるとはな」

梓「あの時は思いませんでしたね」

唯「びっくりだね~」

紬「(わくわく)」ワクワク

澪「って唯が提案したんだろ!」

梓「それをまるで他人事のように……!」

唯「そうでした!」

律「まあしかし……今では感謝したいぐらいだよ、唯に」

澪「私もだ。おかげで色々見えてきたものがある」

梓「私もです。見た目と中身って一致する人としない人がいるってわかりました」

律「ここまで来たらさ、悔いなくやろうぜ?」

澪「ああ。勿論だ」

梓「はい。頑張りましょう」

紬「こうやって友達の輪が広がって行くのね~」

唯「最初と何か主旨が変わってるけど頑張ろうっ!」

律「(お前が優勝だよ、澪)」バチバチ

澪「(優勝おめでとう律)」バチバチ

梓「(がんばって優勝してくださいよ先輩方)」

もはや意地である。

さわ子「呼んで来たわよ~」

和「こんなことだろうと思ったわ」

純「朝梓に聞きましたよ! また軽音部はこんな面白そうなイベントを!」

憂「気まずさ選手権?」


律「ご苦労さわちゃん! お三方よく来てくださった! ささっ、こちらに」

律が三人を椅子に座らすとすかさずムギはお菓子とお茶を用意。

和「ありがとうムギ。大体の話はさわ子先生から聞いたけど」

純「ケーキうんまぁ~。こんなケーキが毎日食べられるなんて! 梓ぁ! 変わって!」

梓「来年入れば? お菓子はないけど」

純「それじゃ意味ないよー! (それに律先輩もいないし……」ボソ

梓「えっ?(なぬ?)」

純「ううんなんでもない!」

梓「(まさか……! 律先輩にキャとられたか純!)」

憂「ありがとうございます紬さん」

紬「いえいえ~(憂ちゃんともスキンシップ出来るなんて夢のようだわ~)」

唯「ムギちゃんのケーキ美味しいでしょ~?」

憂「うんっ。これを毎日食べられるなんて羨ましいな。けど持って来てばっかりじゃ悪いから今度私の作ったお菓子をお姉ちゃんに持って行ってもらいますね」

紬「そんな気を遣わなくていいのよ? 私が好きで持って来てるから」

憂「いえ、それでもです。親しき中にも礼儀ありですから」

紬「(いい子すぎるわ! 憂ちゃんにロックオン!)」ムギュギュギュギュ

唯「今度みんなでお菓子作ろうねって話してたんだぁ」

憂「皆さんで? じゃあ今日帰ったら念入りに掃除しとかなきゃ」

唯「まだいつやるかは決まってないからそんな焦らなくていいよぉ」

律「(早くも差を感じさせてくれるじゃないか……!)」

澪「(戦いはもう始まってるってわけか)」

梓「(どれぐらい親密度上げて来たのかは知りませんが完全網羅した私には勝てませんよ二人とも!)」

律「(まあ……)」

澪「(唯とムギには……)」

梓「(勝てそうにないですけど)」

さわ子「そろそろルール説明したら?」

律「ホワイトボードカモンッ!」

そう言われた瞬間いそいそとホワイトを持って来る梓と澪。

律「今から三人には私達一人一人と一対一で五分間他愛のない会話をしてもらいます!」

紬「してもらいま~す」

律「その会話や仕草、場の空気などを他のメンバーがこのプレートで採点します!」

唯「1~5点だよ! 高いほど気まずかったってことだよ!」

さわ子「私は特別審査員だから1~10点だけどね!」

律「それが一番高い人が気まずさ選手権優勝!」

澪「何か勝手に巻き込んでごめんな」

和「昨日の変な組み合わせはこれのせいね。てかあんた達も暇ね」

澪「ごもっともです…」

唯「まあまあ! 和ちゃん! 楽しければ大正解だよ!」

純「(なるほど、だから律先輩はわたしと仲良くなって今日話しやすく……。でもそれって何だかちょっと寂しいかも)」

憂「(/// てっきり澪先輩寂しいのかと思って妹のフリなんかしちゃったよぉ)」

律「大体の説明は終わったところで……累積得点を!」

唯「はっ! ここに! 唯ちゃんグラフ改でございます!」

律「うむ」

 唯澪律紬梓和純憂合
唯\⑧③③③    ⑰
澪⑧\③⑨③    23
律③③\⑥⑮    27
紬③⑨⑥\③    21
梓③③⑮③\    24

梓「相変わらず線の引き方汚いですね唯先輩」

唯「ご愛敬~ご愛敬~」

紬「今回はこんなもの作ってみました~」ジャジャ~ン

律「おおっ!くじ引きか!」

紬「この方がドキドキ出来ると思って」

唯「ナイスだよムギちゃん!」

律「じゃあさっそく……」ガサゴソ

和「はあ……まあいいけど」

純「(律先輩……)」

憂「(何が出るかな~♪)」


律「記念すべきリベンジマッチ第一回戦の組み合わせは~」

紬「ジャカジャカジャカ」

律「じゃんっ! 唯&和!」

唯「幼なじみパワーだね! 和ちゃん!」

和「どんなパワーよそれ」

律「さて、抽選も終わったことだしみんなはプレート持って外に行った行った~」

そう言いながら全員にプレートを渡す律。

澪「あれ? 私達だけじゃないのか?」

律「それだと外側がつまらないだろ~?」

澪「ってことはさわちゃんを入れて7人が採点するわけか……」

梓「なんかもうインフレしまくってますね」

律「細かいことは気にしない気にしない(これで前半の得点など無意味よ! ふはは!)」


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