~・~同時刻1年教室付近廊下~・~
B「ドラム……」

D「え?何?」

B「……ん、なんでもない」

D「そうなの?」

B「(塾も行かなきゃだし、きっと無理だよね……)……うん」

D「なに?今の間……」

B「え?(きょとん」

D「あー、うん、なんでもない」

B「(よくわからないけど……)ならいいか……」

D「なんか、ぼおっとしてるけど大丈夫?気分悪いの?」

B「大丈夫。ちょっと考え事してて……」

D「そ、そう……」

B「(入部はできないけど、作詞かぁ~……作詞……楽しそう……)ふ、うふふふ……」

D「ひっ!?……ちょ、どうしたの?なんか怖いよ?」

B「え?あ、ごめん。思い出し笑いというか」

D「あー、そ、そうなんだ……」

B「(ふわふわ気持ち揺れる まるでひつじ雲……)」テクテク

B「(誘う君の言葉 春風のよう 私を揺らす……とか)」ゴンッ

D「…………」

B「……痛い」

D「な、なぜ壁に突っ込んだし……?」

B「ちょっと、考え事を……」

D「そ、そう……歩いてる時はやめたほうがいいよ……」

B「うん、そうする」


~・~数日後~・~
純「……ねぇ~」

梓「……何?」

純「ビラ配りだしてから数日経ったよね」

梓「経ったね……」

純「ただの一人も見学に来ないってどういうこと!?(ムキー」

梓「そんなこと言っても、来ないものはどうしようもないじゃん!(ガー」

純「なんか足りないんじゃないの!?何か見落としてるかもよ!」

梓「それがわかるならとっくに足してるよ!」

純「…………」

梓「…………」

純「……不毛だね」

梓「……そうだね」

梓・純「はぁ~」


憂「ただいまー……どうしたの?」

純「争いは醜いねって話をしててさ」

梓「違うでしょ……新入生こないねって話を……」

憂「ん~……どんな部かイメージが湧きづらいのかも……」

梓「イメージかぁ……それなら、ビラはだいぶ配ったし、これからは新歓の練習をメインにしようか……
  軽音部のイメージが湧きづらいなら、新歓ライブで楽しい部なんだって感じてもらえるように」

憂「うん、そうだね。頑張らなきゃ(フンス」

純「でもさ、ライブだけで本当に大丈夫かな……心配になってきた」

梓「こっちまで不安になるじゃん」

憂「でも、今はそれしかないもん。信じて頑張ろうよ」

?「あなたたち、何か忘れてない?」

梓・憂・純「「「うわぁ!?」」」

さわ子「やぁねぇもう、毎回毎回……」

梓「せめて前に回ってから話しかけてください……」

純「あ~、心臓止まるかと思った……」

憂「ところで、忘れてるって……何をですか?」

さわ子「じゃっじゃ~ん!これよ!」

梓「!!それは!(バッ」

さわ子「あ、こら、返しなさい」

純「何ですか?あれ?」

さわ子「あれはね~」

梓「なんでもない!!わーわーわーわー!!!」

…………

梓「ぜぇ、ぜぇ」

さわ子「去年撮った軽音部の紹介ビデオよ」

梓「∑!?はぅっ」


純「なんだ、そんなのがあるなら……」

梓「ダメ!!」

純「いや、でもせっかく……」

梓「絶対ダメ!!」

純「ダメだこりゃ……耳までふさいじゃった」

憂「何がそんなに嫌なんだろう……?」

さわ子「ま、百聞は一見にしかずね。憂ちゃん!お茶菓子!」

憂「は、はい!梓ちゃ~ん、大福だよ?」

梓「(ぱく)むぐ……(ぽわ~」

さわ子「純ちゃん!」

純「はい!(ガシッ」

梓「はっ!こら、純!離して!!」

さわ子「(サッ)ちょちょいのちょいっと、はい、再生~」

梓「(ギャーギャー)」


~・~再生中~・~
憂「あ、お姉ちゃんだ♪」

純「あぁ~そういえば撮影手伝ったね。今思い出したよ」

……

HTT『軽音部で、お待ちしててまーす!!』

純「なに、いいじゃん。これ流そうy……」

梓『けっ軽音部へ、ようこそ   にゃん?』

憂「…………」

純「…………」

梓「……だから嫌だったのに……」

さわ子「何言ってるの?ベストカットじゃない。これで男のハートを鷲掴みよ!!」

梓「ここは女子高です!!!というか、純も憂も笑顔のまま固まっちゃったじゃないですか!」

憂「(がしっ)梓ちゃん……私たち、いつまでも友達だよ?」

梓「ぇ?憂、何言って……」

純「あいや!みなまで言うな!大丈夫。梓のネコミミ趣味のことはクラスでは黙っておくから!」

梓「違うってば!!!!」


――すったもんだ――

純「でも、せっかく先輩たちが梓のために残したんだs……ぅ……」

梓「……(じぃ」

憂「まぁまぁ、梓ちゃん……」

純「あ、最後だけ切れば?停止ボタンをポチッと」

憂「そうだよ。他はあんなにいいビデオになってるんだし」

純「それに、あれだけいろんな人に協力してもらったんだもん。使わなきゃもったいないよ」

憂「そうそう!」

梓「ぅ……そこまで言うなら……」

さわ子「決まりね♪じゃぁ、生徒会の申請には『演奏』と『ビデオ上映』って書いておいてね」

梓「わかりました……でも、絶対最後は編集でカットしてくださいよ!」

さわ子「わかってるわよ(チラッ」

純「(『わかってるわね♪(邪笑』先生の目はそう語っていた!了解であります!)」(キリッ



純「そんなわけで、新歓当日を迎えたわけだけど……」

梓「誰に言ってんの?」

純「誰だろうね?」

憂「なんか、緊張してきたね~」

梓「大丈夫。やれるだけのことやってきたから」

純「梓は楽勝だよね~。新歓とか学祭で何度もステージ立ってるし」

梓「私だって緊張してるよ。MCは始めてだもん」

憂「いつもしゃべってるのはお姉ちゃんだったもんね」

純「ほほぅ……(ニヤ)見て見て~人がいっぱいだよ~」

梓「……!」(ドカッ

純「あたた……ごめんってw」

梓「まったく……」

憂「(にこにこ」

さわ子「ねぇ、今からでもバニーに着替えない?」

純「うわぁっ!?」

梓「……また背後から……そして着替えません」

さわ子「ぶーぶーぶー」

梓「ぶーたれてもダメです!」

さわ子「じゃぁせめてネコミミだけでも……」

梓「だから嫌ですってば!」

さわ子「はぁ、しょうがないわね……」

アナウンス『次は、軽音楽部による演奏です』

梓「もう始まりますから、下がってください」

さわ子「わかってるわよ~。……あ、そうだ。憂ちゃんはステージに立つの初めてよね?」

憂「え?はい。初めてです」

さわ子「気持ちいいわよ。思いっきり楽しんでらっしゃい。2人もね」

梓・憂・純「「「はいっ!」」」


――パチパチパチパチ――

梓『こんにちは。軽音部です』


A「あれ?3人しかいないじゃん」

C「そだね」

A「誰だ!部員が多いなんて言ったのは!」

C「お前だ!(ゲシッ」

A「やっぱマイクの前にいるってことは、あの先輩がボーカルかね?」

C「さぁ?っていうか、黙って見てなさいよ」

A「へ~い」


梓『えぇっと……』

憂「梓ちゃん?」

梓『ごめんなさい。何を言おうか考えてきたんだけど、忘れちゃって』

純「おいおい……」


D「忘れちゃったって。緊張かな?」

B「どうだろう……(やっぱりドラム……いない……」

D「なんか、背もちっちゃいし、かわいい感じの先輩だよね」

B「うん……(打ち込みかな」


梓『えっと、実はこの3人でバンドを組んだのはつい最近で……』

梓『これから演奏する曲も、私たちが作ったわけではないんです』

梓『そんな駆け出しのバンドなので、初心者でも全然大丈夫です』

梓『少しでも、楽器とか音楽に興味がある人は放課後に音楽準備室に来てください』

梓『みんなでお茶したり、雑談したり、練習したり、とても楽しい部です』

A「(お茶ぁ!?)」

B「(練習……最後に出てきた……)」

梓『では、聞いてください。去年卒業した先輩たちと一緒にやった曲です』

梓『ふわふわ時間』


~・~演奏中~・~
C「あれ?ギターの先輩、ボーカル兼任かと思ったのに歌わないんだ?」

A「…………」

C「……?A?」

A「……」じぃっ

C「……やれやれ(微笑」


B「…………」

D「……(チラッ)ひぃ!?」

D「(Bちゃんがステージを睨んでる!?何にそんなに怒ってるんだろう……)」

B「……(じぃ」←単に見入ってるだけ

A「(楽器のことは詳しくないけど……)」

B「(やさしい……音……)」

A「(3人ともすごく揃ってる……)」

B「(全員が一つ一つの音を大事に弾いてる雰囲気が伝わってくる……)」

A「(よっぽど練習したんだろうな……それに……)」

B「(すごく大切な曲なんだろうな……それに……)」

A・B「(すごく楽しそう!)」


梓「(ぁ……手拍子……)」

憂「(だんだん大きくなって……)」

憂「(先生が言ってた『気持ちいい』ってこういうことだったんだ)」

純「(~~~!!やばい、この感じ……これはハマル~)」

ジャジャッジャジャッジャーン――


憂「(すごい拍手……)」

純「(きんもちいぃ~!)」

梓「…………」

憂「梓ちゃん……?」

純「あとは紹介ビデオ流して終わりだぞぉ~」


梓『……入学してから、ずっと5人でバンドをやってきて』

梓『先輩たちが卒業しちゃって、一人になって……』

梓『でも、同級生の憂と、純が入ってくれて』

憂「梓ちゃん……」

純「梓……?」

梓『それでも、もう一人入らないと、廃部になるって聞いて』

梓『今まで、先輩たちが残してくれた、軽音部を守らなきゃって』

梓『使命感、みたいなのもあって、でも今、憂と純と、みんなの前で演奏して、違うんだなって』

梓『私は、ただ、この軽音部で、音楽を、続けたい、んだって』

――ざわざわ――

A「あのさ、ひょっとしてあの先輩……」

C「泣いてる……ように見えるね」

A「…………なにゆえ?」

C「知るわけないでしょ」


D「(はっ!?まさか、Bちゃんと目が合って!?)」

B「……?なに?」

D「なっ!なんでもないよ!!(Bちゃん……恐ろしい子……)」

B「???」


梓『HTT……去年までの、先輩、たちとの、バンドの絆も、確かに固いけど』

梓『先輩たちと、方向は違っても……自分たちの、憂と、純と、仲間との音楽を見つけ、たいなって』

梓『私は、この、軽音部って、いう場所、が、大好きだから!』

梓『だから、その仲間が増えてくれるたら、うれしいです!』


梓『……(ヒック』

純「……」

憂「……」

観客「……」

純『梓……(ぽむ』

梓『純……?』

純「……」

梓『…………何?』

純『あとは任せろって目で語ってるじゃん!』

梓『わかんないよ、そんなの』

純『アイコンタクト失敗!?』

――クスクス――

純『ぅ~、と、とりあえず!この後、去年撮影した軽音部の紹介ビデオを流しま~す』

純『結構軽音部の雰囲気が出てると思うので、興味を持った方は是非入部してくださーい』

憂『それでは、どうぞー』

純「さ、下がろ」

梓「うん……」


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