純「どうした~?急にため息なんかついて」

梓「う~ん、なんていうのかな。もうこの学校には同級生と後輩しかいないんだなぁっていうか……」

純「そんなの、あたりまえじゃん。先輩たちは卒業しちゃったんだから」

梓「それはそうなんだけど、そういうことじゃなくって」

純「じゃ何さ?」

梓「だから、うまく言えないけど、違和感っていうか……もう!よくわかんないよ!」

純「いや、よくわかんないのはこっちだっての……(;ー▽ー)」

憂「私はなんとなくわかるかな……」

純「憂、わかるの?」

憂「なんとなくだけどね。私も似たような気持ちだから」

純「へぇ~、どんな?」

憂「簡単に言うとね、寂しいんだよ」

純「寂しい?」

憂「ほら、私たちが入学したときって軽音部には3年生の先輩がいなかったでしょ?それに去年も新入部員は入ってこなかったし」

純「そういえば……」

憂「だからね、梓ちゃんにとっては教室以外の学校生活はお姉ちゃんたちとここにいることだったんだよ純ちゃんは先輩を見送るのは2回目だし、去年入った後輩がいるからピンとこないかもしれないけど」

純「なるほどねぇ~、つまり梓は『大好きな先輩たちがいなくなっちゃって寂しい』んだ?(ニヤニヤ」

梓「べっ!別にそんなんじゃないもん!」

純「もぉ~そんなに照れることないじゃん」


???「わたしもぉ~寂しぃわぁ~(オドロオドロ」

梓・憂・純「「「ひぃ!?」」」

純「さわ子先生!?いつの間に!?」

梓「急に背後から話しかけないでください!!」

さわ子「ついさっきね。普通に入ってきたのに誰も気づいてくれないんだもの」

梓「ならせめて、普通に話しかけてください!なんでそんな気味の悪い登場の仕方なんですか!」

さわ子「気味が悪いなんて失礼ね。ちょっとセンチメンタルな気持ちになってただけじゃない」

純「先生もやっぱり寂しいんですか?」

さわ子「そりゃそうよ。あの子達といた期間なら、梓ちゃんよりも長いのよ?」

憂「そっか。3年間ずっとでしたもんね」

さわ子「そう、3年間。すてきなティータイムだったわ」

梓「やっぱりそこなんですね……」

さわ子「なんでお茶は引き継いでくれないのよぉ~~~~」

梓「あたりまえですっ!ティーセットもお茶もお茶菓子も全部ムギ先輩の持ち物じゃないですかっ!そしてしがみつかないでください!!」

憂「あの、先生、日本茶でよければ家から持ってきましたけd……」

さわ子「いただきますっ!!(キリッ」

純「年々さわ子先生のイメージが崩れてくわ……」


さわ子「あらおいしい。紅茶もいいけど、緑茶もいいわねぇ。落ち着くわ」

憂「えへへ。お隣のおばあちゃんから新茶のパックを頂いたんです」

純「(何しにここに来てるんだろう、この人……)」

さわ子「そうそう、さっきの話だけど、今まで最年少だったのが急に最年長として部を引っ張っていかなきゃいけないっていう不安とかプレッシャーもあるんじゃないかしら?」

梓「あ~……、確かに。そういう気持ちもあります。後輩って、どう接したらいいんだろうって」

純「そんなの、梓が先輩にしてもらったことをしてあげたらいいじゃん?」


梓「してもらったこと……?」

~回想1~(入部届け提出)
梓「あの~……入部したいんですけど……」
律「確保ーー!!!!(ガバッ)」
梓「きゃあああああ!」

~回想2~(初めての部活)
梓「(はっ!まさか、私の自主性が試されてる?じゃぁ早速……)」ジャララーン
さわ子「うるっさあああああああああああああああい!!!」
梓「えぇぇぇ!?」

~回想3~(2回目の部活)
さわ子「梓ちゃんにプレゼントを持ってきたわ」(猫耳)
――すったもんだ――
梓「……こ、こうですか?」(嫌々装着)
唯・紬「ようこそ、軽音部へ!!」
梓「今頃!?」

~回想4~(学祭ライブ直前)
唯「(ぎゅっ)ごめんね、あずにゃん。今日は最高のライブにしようね」
梓「もう……特別、ですよ……」
唯「じゃぁ~仲直りのちゅうぅぅぅぅ(ずずいっ」
梓「ひぃぃぃっ!!?」

~回想終了~

梓「……新入生……逃げちゃわないかな……」
純「あんた……今まで軽音部でどんな扱い受けてたのよ……」


憂「あ、梓ちゃんはいつも通りにしてればいいんじゃないかな?」

さわ子「そうねぇ~。今までも、唯ちゃんや律ちゃんより梓ちゃんの方が上級生って感じだったものね」

梓「そ、そんなことは……(照」

憂「(お姉ちゃん……)」

純「でもまぁ、どんな風に接してもらったかよりも、どんな風に接したいかの方が大事かもね」

梓「はっ、珍しく純がいいことを言ってる……」

純「なにおぅ!?」

憂「でも、本当に心配することないと思うよ。梓ちゃんは一人じゃないから」

純「そうそう。仮に新入生が入らなくても、私たちがいるから寂しくないね~」

梓「……そうかもね」

さわ子「そんなこと言ってていいの?あなたたち」

梓・憂・純「「「???」」」

さわ子「今年一人も入部しなかったら、廃部よ?軽音部」

憂「…………」

純「…………」

さわ子「……(お茶ズズー」

梓「……うそ?」

さわ子「ホント」

梓・憂・純「「「ええええええぇぇぇぇぇぇ!?!?」」」



さわ子「(かくかくしかじか)というわけでね、部として認めてもらうには、部員が4人必要なのよ」

梓「しらなかった……」

さわ子「まぁ、去年までは気にする必要なかったものね」

純「いざって時には……先生の名前を部員欄に……」

さわ子「私は顧問でしょ!」

純「じゃぁ、憂のお姉ちゃんにもう一回入学してもらうとか……」

梓「それはさすがに……笑えない……」

純「それじゃぁ……あ、これは名案かも……トンちゃんだって部員です!とか」

さわ子「学校に出す書類でそれを書くの?」

純「ですよねぇ~……じゃぁやっぱり憂のお姉ちゃんにもう一回……」

梓「だから、それは唯先輩らしすぎて笑えないってば!」

憂「(梓ちゃぁん……)」

梓「それよりも!今はどうやって新入生に入部してもらうか考えなきゃ!」

憂「そ、そうだよ!やる前からダメだった時のことばっかり考えてもしょうがないよ!」

純「それもそうだね~」

憂「でも、実際どうしよう……?」

梓「ポスターとビラは作るとして、問題は内容だよね……」

憂「できるだけ軽音部に興味を持ってもらえるのがいいよね」

純「インパクトのあるものとか?」

さわ子「ふっふっふ、ここは私の出番ね」

梓「舞台袖に下がっててください」

さわ子「そんな、冷たい……(うるうる」

憂「(汗)あ、あの!先生は何かアイデアがあるんですか?」

梓「聞かないほうが……」

さわ子「良くぞ聞いてくれました!こういう話になると思って、いつもの着ぐるみをクリーニングしておいたわ!(じゃじゃーん」

梓「持って帰って二度と持ってこないでください」

さわ子「ブー……今日の梓ちゃん、やけに冷たいわね……」

梓「去年その格好で配って、ぜんっぜん受け取ってもらえなかったじゃないですかっ!!」

憂「そういえば、一昨年それを着たお姉ちゃんから逃げちゃったかも……」

さわ子「じゃぁ、こっちのメイド服!これなら逃げられることはないわ!」

憂「お姉ちゃんたちにメイド服で接待されて入部をやめた人がここに……」

純「私で~す……」(;ー▽ー)ノ

純「というかまぁ……確かにどっちもインパクトはあるけど……」

憂「着たくはない……かなぁ(汗」

さわ子「えぇ~、唯ちゃんたちはちゃんと着てくれたわよ?」

梓「それで2年間失敗してるじゃないですかっ!!」

さわ子「せっかく軽音部のために夜なべして作ったのに……(よよよ」

純「(ひそひそ)実は、さわ子先生ってめんどくさい人?」

梓「(ひそひそ)ん~……たまにちょっとね……」

さわ子「あん!?何か言ったか?」

梓・純「「な、何も言ってません!!!」」

憂「(汗)あ、そうだ!去年の学園祭ライブの時のTシャツみたいな衣装なら着たいな、私」

純「お~、憂!それナイスアイデア!!」

梓「そ、そうですよ!インパクトよりも先生のセンスを前面に押し出したほうがいいです!」

さわ子「私の……センス……?」

梓「そうです!あのTシャツを受け取ったとき、感動しましたから!」

さわ子「(ズキューン)……感動……」

梓「はいっ!」

さわ子「ふ、ふふっ、ふふふふふ……」

梓・憂・純「……(ごくり」

さわ子「しょうがないわねぇ~、衣装の件は私に任せなさい!」

梓「お、お願いします……」

さわ子「さぁ~忙しくなるわよぉ~♪」

憂「行っちゃった……」

純「しょうがないって言いながら、すごい乗り気っていうか、嬉しそうだったね」

梓「とりあえず、今は乗り切ったけど、衣装は先生が作ったのを見て改めて検討ってことで」(;ーー)

純「同感……」(;ーー)

憂「そうだね(苦笑」



~・~数日後~・~
梓「軽音部でーす!」

純「一緒にバンドやりませんかー」

憂「よろしくお願いしまーす」

純「結構渡せてるね」

梓「去年までの苦労がウソのように……(感涙」

憂「ビラつくるのに時間かかって出遅れちゃったけど、多く作ってよかったね」

純「でもよかったよ。普通に『けいおんぶ』ってロゴの入ったTシャツで」

梓「卯年だからってバニーガールの衣装を出されたときはヒヤッとしたけど……」(;ーー)

純「確かに……」

憂「さ、残りのビラ配っちゃお。お願いしまーす」

純「そだね。楽器できる人はぜひー!特にドラムとかー!」

梓「はい、どうぞ。興味があったら、放課後に音楽準備室に来てください」

1年生A「え、はぁ、気が向いたら……」

純「さぁさぁ、今ならドラマーさん優遇だよ!お買い得だよ!」

1年生B「ぇ……?」

梓「こら純!!」

憂「純ちゃん、意味がわからないよ……」

B「ド、ドラム……ですか……?」

純「そ、ドラム!あと、作詞とか作曲もできればベスト!!」

梓「じゅ~ん~?」

純「あはは、ごめ~ん。なんかテンション上がってきちゃって……」

B「作詞……作曲……」

梓「あ、あまり気にしないで。ごめんね。音楽とか楽器に興味があればそれでいいから……」

憂「放課後、音楽準備室で活動してるから、興味があったら来てね」

B「あ、はい。行ければ……」(スタスタ)

純「逃げるように早足で……」

梓「純が作詞作曲なんてプレッシャーかけるから……」

純「ごめんって~。ここからは真面目に配りま~す」

――キーンコーンカーンコーン――

憂「あ、予鈴。教室に戻らなきゃ」

純「そだね。放課後はどうする?」

梓「当番制で配るのがいいと思う。順番とかは一回部室に集合してから決めよう」

純「あ~ぁ、クラスがバラバラってめんどくさい~~」

憂「しょうがないよ。放課後までの辛抱だよ」

梓「部室に行けば嫌でも会って話すんだから」

純「それもそっか。……でもめんどくさい~」

梓「いいから、早く戻るよ!!」


~・~同時刻昇降口近辺にて~・~
1年生C「あれ?A、また勧誘のビラもらったの?どこの部?」

A「軽音部だってさ。なんか、ひらがなで『けいおんぶ』って書かれたTシャツ着てた」

C「でも、まだビラ配ってる部あったんだね」

A「ね。ちょっと意外だからもらってきちゃった」

C「ちょっと見せてよ」

A「はいよ」

C「……『バンドやりませんか』か。そういえばA、中学のときからバンドやりたいって言ってなかった?入ってみたら?」

A「あたしゃパス。部活じゃなくて外バン組むわ」

C「なんで?せっかく部があるのに」

A「これは想像だけどさ、今の時期にビラを配ってるってことは、人数が多いんじゃないかと思うわけよ。
  勧誘出遅れて入部が少なくても、元の人数が多いからへっちゃらだぜ!みたいな」

C「人数が多いとなんでダメなのさ?」

A「あたしがやりたいのはボーカルだからね。ただでさえ競争率高いわけよ
  それに何より、ビラ配りながら言ってたんだよね『ドラム歓迎~』って」

C「なら人数云々よりもそっちを先に話せっ!(ポカッ」

A「あいた~……ま、そんなわけで部活動は諦めて外バンで頑張るよ」

C「ふぅん、で?その外バンを組むための活動は始めてるの?」

A「えぇ~っと……今はほら、入学したてだし~もう少し高校生活に慣れてからでもいいかなぁ~なんて……」

C「はぁ、こうやってニートができていくんだね……」

A「えぇ!?部活してないだけでニートってひどくね!?」

激しくデジャヴを覚える一幕

C「おバカ!そうやってやること先延ばしにするのがニート気質だっつってんの!」

A「ごもっともなんだけどさぁ~、バンドを始めるにしても、何から始めていいものやらって考えてると、
  ついつい、今焦って考えるよりも明日じっくり~ってなっちゃうんだよねぇ~」

C「あんた……つねっていい……?」

A「や~だよw」

C「この……」

――キーンコーンカーンコーン――

A「お、ここでタイムアーップ」

C「仕方ない。教室に戻……って!!次移動教室じゃん!ほら、急ぐよ!!」

A「アイサー!!」

C「サーは男性への敬称だ!!」


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