梓「ところで私のことは食べないんですか」

唯「へ?」

梓「湯上りつるつるほかほかですよ」

唯「いや、アイス食べるけど」ペロペロ

梓「私のほうが特売品の168円のアイスよりずっとおいしいですよ」

唯「うそだぁ」

梓「いまなら10%ポイント還元いたします。さらに超特価2割引です」

唯「えぇー、じゃあお一つ……っていらないよ」

梓「味見だけでも……! 味見だけでも結構ですので!」

唯「嫌だよー。だってそういうのって一度ふりむくと絶対うまいこと乗せられるもん」

梓「損はさせません!」

梓「だから……一口だけでも……」


 「私を食べてください……」


唯「はっ!」

唯「どうしよう、今一瞬だけ心が揺らいだよ」

梓「……」ウルウル

梓「どうしても……ですか?」

唯「そこまでいわれちゃあね……」

梓「おひょお!?」

唯「ほんとに一口でいいんだよね?」

梓「はい! どこでも結構です!」

唯「一口だけだよ!」

梓「どこにしますか!?」

梓「耳!? 鼻!? 足!? 手!? それともおっぱいですか!!??」

唯「ちょっと落ち着いてよあずにゃん」

唯「あと架空のパーツを候補に入れるのやめようね」

梓「はい?」

唯「じゃあとりあえず……指で」

梓「はい!お買い上げありがとうございます!」

唯「え"ぇ、まだ買ってないよー!?」

梓「冷めないうちにお召し上がりください」

ズズイ

唯「爪きれいだね……」

梓「はい! きたるべき日のためにいつも砥いでます!」

唯「やっぱり猫さんなんだねあずにゃんは」

唯「じゃあ舐めるよ?」

梓「どうぞ」

ペロ

梓「あ……///」

唯「手……ちっちゃいね」

ペロ

梓「あぁ……ぅ///」

唯「はい終わり/// さぁ寝よっ!」

梓「お客さん!もっとねっとりしゃぶってくださいよー!」

唯「はいはい。あずにゃんおやすみ!」

唯「あ、そういえばどこで寝ればいいのかな」

唯「お客さん用のふとんとかある?」

梓「寝るトコは一応わたしの部屋にあります」

梓「たまたまダブルサイズのベッドなんですよー」

唯「そうなんだ、じゃあわたし帰るね」

梓「ちょっとお! いいじゃないですか一緒に寝るくらい」

梓「私に限っておかしなことになるわけがないです」

唯「どの口がいってるの」

梓「それとも唯先輩は私のことが嫌いなんですか?」

梓「それなら……」

梓「しかたないですよね……」ガクリッ

唯「え"っいや、別にそうじゃないけど」

梓「いえ、いいんですもう」

梓「実は薄々感じてました」

梓「あ、脈ないわこれ脈ないわ!って……」

唯「どうしたの急に」

梓「だって今の唯先輩は私といても楽しそうじゃないですし」

唯「そ、それはあずにゃんがすごく……」

梓「私すごくめんどくさいおんなですよね……」

梓「……うざにゃんですよね」グスッ

唯「そんなこと言わないで! あずにゃんはすっごくいい子だよ」

唯「ギターも料理もうまいし、かわいいし、ちっさいし」

唯「大事な大事な後輩だよ!」

梓「……そうですか」

梓「後輩ですか……」

梓「ホントは私……かまってほしいだけなんです」

梓「相手してほしくて、振り向いて欲しくて」

梓「唯先輩と一緒にずっといたいんです」

唯「そんなに私のこと……」

梓「だからこういう泣き落としも平気でします」

唯「それは口にださなくていいです」

梓「とにかくっ!」

梓「大好きなんです!」

梓「どうしようもないくらいに好きなんです」

梓「唯先輩のこと考えてるだけで、夏休み消化できるくらい好きなんです!」

梓「もっと燃えるようなアバンチュールしたいんです!」

唯「あずにゃん……」

唯「わかったよ……じゃあ今日は特別」

梓「え?」

唯「……一緒に寝てあげよう」

梓「……!」

梓「ぇええええ!? いいんですかあああああああ!!?」

唯「う、うん……」

梓「いやったあああああああああああ!!」

梓「早くベッド行きましょう! 早く!」グイグイ

唯「すでに後悔の波が……」

梓「撤回はなしですよ!」


梓の部屋

梓「ほらっここですよ! ベッドここ! ここに横になって早く!!」

梓「こうこっち向けで横になって、早く!!」

唯「これから寝るっていうのにテンション高いよ」

唯「よっこらせ」ゴロン

梓「じゃあ……お邪魔します」イソイソ

ギュウ

唯「や、やっぱり恥ずかしいよ///」

梓「いいえ。これくらい余裕です」

梓「これなら朝までチャージできますしね」

梓「唯先輩分」

梓「非常に効率的な寝方なんです」

唯「そうなんだ……」

唯「……」

梓「……」

唯「あったかいねあずにゃん」

梓「はい、唯先輩もふわふわです」

唯「おきーにーいりーのあずにゃんーだいてー」

梓「もうっ……思い出させないでください」

唯「えへへ」

梓「でも……歌詞通りになりましたね」

唯「どりぃむー ないと せーつーないのー」

梓「……もうちょっとギュッとしてくれますか?」

唯「うん」

ギュウウ

梓「唯先輩……」フニャン

唯「猫さんだねあずにゃん」

唯「私の腕の中きもちいい?」

梓「さみしい夜が終わるまでここにいたいです」

唯「なにそれー。ふぁわ」

唯「うとうとしてきちゃった」

唯「もう寝るね?」

唯「おやすみあずにゃん」

唯「明日……またいっぱい遊ぼうね……」

梓「えっもう寝るんですか?」

梓「もっとおしゃべりしましょうよ」

唯「zzzz」スピー

梓「唯先輩……」

梓「いたずらしちゃいますよ?」

唯「zzz」

梓「5、4、3、2」

唯「zzz」

梓「……1」

唯「zzz」

梓「もうっ……」

梓「……まぁいっか」

梓「おやすみなさい唯先輩」



翌日 マクドナルド

澪「唯……なんでマフラーしてるんだ?」

唯「さ、さむいからだよぉ」

律「さすがに店内ではとれよな」

唯「これにはちょっとした理由があってですね……」

梓「マナー違反ですよ」

唯「あずにゃんのせいだよっ!!?」

紬「あらあら、どうしたの?」

律「いーからとれって。ほら」

唯「いーやーだぁ! やーだぁ!」

バッ

澪「……お、おぉお?」

律「……唯、すまんかった」

唯「ひどいよりっちゃん……」

紬「それキスマークでしょ。それもたくさん」

梓「隠す必要がどこにあるんですか」

唯「だってぇ。だってこれ恥ずかしいよ」

澪「あ、梓がやったのか?」

律「わざわざ聞かんでも」

梓「はい! 唯先輩がなかなか起きなくて!」

澪「ぶふぅ」

律「シェイク吹くな」

澪「げほ、一緒に寝たのか?」

紬「昨晩はお楽しみでしたね?」

梓「それが唯先輩ったらすぐに寝ちゃって」

唯「だって眠たかったんだもん」

唯「それに起きてたら何されるかわかったもんじゃないし……」

梓「だから私に限っておかしなことは!」

唯「えー。また言ってるよ」

唯「もーお願いだからいい子にしてよあずにゃん」

梓「唯先輩こそ素直になってください。調子悪いんですか?」

澪「非常に見苦しいな」

律「朝からのろけ話を聞かされるとは……」

澪「独り身の私たちへのあてつけだな。不快だぞ」

紬「私はそうでもないけど」

律「……それで、何の要件で呼び出したんだ?」

唯「あ、そうそうきいて」

梓「唯先輩が私のこと好きすぎてですね」

唯「違う! ちょっとだまって!」

唯「あずにゃんがご覧のとおりおかしくなっちゃってね、私どうしたらいいのか」

唯「なんだかいままでのあずにゃんみたいに可愛がれないよ」

唯「このままじゃあずにゃんと破局?しちゃう!」

唯「っていう悩みなのです」

澪「なんか今のセリフで頭の悪さがにじみ出てるな」

紬「なるほど~。つまり唯ちゃん攻めがいいってことね?」

澪「セメ?」

唯「ソレがききたかった!」

紬「今度じっくり教えてあげるわ」

梓「唯先輩が攻めですか」

律「そうだぞー唯のほうからガンガン攻めて行け!」

唯「えぇえ~! 現状を打開するより、私は過去の栄華にしがみつきたいよ~」

唯「だからみんなであずにゃんを説得してよ」

唯「『もとのあずにゃんに戻って~~』って」

唯「ね?」

梓「私が目の前にいる時点でその作戦は無駄ですけどね」

律「たしかに最近の梓は妙にふてぶてしいというか」

律「態度がデカイ」

梓「うるさいですよ 態度がでかいのはどっちですか」

律「あたしゃ先輩じゃあ!」グリグリ

梓「いひゃい! 部活内暴力はやめてください!」

澪「いい感じに素なんじゃないか?」

紬「本当の梓ちゃんデビュー!」

唯「ムギちゃんもそうやって茶化さないで! ますます図に乗るよこの子ぁ!」

梓「だから言ったでしょ? 単純に今の私を好きになればノープロブレムなんです」

梓「ただ全てを受け入れるだけです」

梓「さぁ」

梓「さぁ 私の手をとって」

唯「だ、だめだよ、ここで簡単に許容したら私の身がもたない……」

唯「ねぇりっちゃん?」

律「あははー。こっちはしったこっちゃないしー」

律「それに二人の問題だろ?」

律「私はいまの梓でも楽しいと思うぞ! たぶん」

澪「確かにな。もうめんどくさいから二人を、ホッチキスで~閉じちゃお~う~♪」

梓「いきなり歌い出した」

紬「いいわぁそれ。 唯ちゃん!梓ちゃん!どうかお幸せにね~」

唯「……これは、えっと……四面楚歌?」

梓「良かったです。これでけいおんぶ公認ですよ唯先輩」

梓「これからは練習そっちのけでイチャつきましょう!」

澪「それはダメだ」

梓「冗談ですよっ」

唯「もうこうなったら憂しかいない……」

唯「ういいいいい!!かむひああああああああああっ!!」

梓「ちょっと!店の中で大声ださないで」

憂「呼んだ? お姉ちゃん」ヌッ

梓「うわっ!!」

憂「なんかそろそろお姉ちゃんが可哀想だとおもってね」

梓「いきなり現れてなにそれ!!?」

梓「可哀想ってどういう意味!?」

梓「私はこれでも本気で唯先輩のことが」

憂「わかってるって梓ちゃん。怒髪天を衝く、だね」

澪「ほんとだ。怒りでツインテールが荒ぶってる……」

律「前衛芸術としてチキンナゲットを突き刺してみよう」

紬「じゃあ私ビッグマック~」

梓「やめてください! 真剣な話してるんですよ!!」

紬「あらら。ごめんなさい」

唯「そうだよ。ほら憂もこのクワガタさんになんか言ってあげて」プンプン

憂「梓ちゃん……」

梓「なに」

憂「お姉ちゃんと幸せにね♪」

憂「でもお姉ちゃんは暑がりだからベタベタするのはほどほどに!」

梓「うん! ありがとう憂!」

唯「あー~やっぱりグラコロおいしいよね~。あは、あはぁ」

唯「ポテトさんもおいで~。一緒にBBQソースの海に飛び込もう?」

律「ついに唯がおかしくなった」

紬「普段からこんなもんよ~」

澪「ちょっといい具合にいじめすぎたか」

憂「おかしくなったお姉ちゃんもカワイイよぉ」

梓「そうですね。これぐらい頭おかしいほうが保護欲がそそられます」

律「お前らめちゃくちゃ言うな!」

唯「ワタシはおかしくないです」

梓「あーもう!」

梓「唯先輩、この人たちはからきし役にたちませんし、さっさとデートいきましょう」

律「おーおー! もう勝手にしろい!」

澪「ばーか! 梓ばーか!」

紬「ばーかぁ!」

憂「ばかにゃん」

梓「~~っ!!」

梓「いきましょう!唯先輩! BBQソースでベチャベチャになってる場合じゃないですよ」

唯「私はおかしくないもん!」

梓「わかりましたから、ほら!」

唯「みんな、なんかごめんね。憂も」

律「へいへい、どうもこれはお邪魔したようで」

澪「ばーか、唯もばーか!」

紬「楽しんできてね、唯ちゃん」

憂「お姉ちゃん、今日も梓ちゃん家泊まるよね?」

唯「えっ、そうなの!?」

憂「もうそのまま帰ってこなくていいからね?」

憂「ちょっと寂しいけど、お姉ちゃんが幸せなら私それでいいよ!」

唯「憂!!?」


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