梓「わかってないですね」
梓「私これが素ですけど?」
唯「えぇ……」
梓「なにか?」
唯「なにかってそりゃあ……」
梓「それに澪先輩にも言われました」
梓「『素な感じで』って!」
梓「そのとき私、ハッとしたんです」
梓「あぁ……私なんて馬鹿だったんだろう。って」
梓「ぶっちゃけるといままで結構ぶりっこしてました」
梓「演技の中の梓は可愛かったですか?」
梓「あ、いまのは中のと中野をかけてます。 プクク」
唯「解説しないほうがいいよそれ」
梓「唯先輩がお望みとならばまたあずにゃんを演じてもいいですけど」
梓「いまはただの梓なんです」
梓「唯先輩の前ではあずにゃんである前に梓でいたいんです」
梓「もちろん唯先輩がつけてくれたあだ名なのであずにゃんも大事です」
梓「唯先輩の前で従順なあずにゃんになるのは、決して苦ではないです」
梓「けどたまには本当の私を見てほしいです。梓の素顔を見て欲しいです!」
梓「いつまでも仮面をかぶって生きていくのは……息苦しくて大変なんですよ」
梓「私存外、人見知りですし、シャイですし、恥ずかしがり屋ですし、おセンチですから……」
梓「厳しい外の世界では、どうしても自分を守ってくれる仮面が必要になります」
梓「でも……けいおん部では、先輩達の前では」
梓「唯先輩の前では! もうそんな仮面をかぶる必要がない!」
梓「本当の自分をさらけ出していいんだって初めて思えたんです!」
梓「それって素晴らしいことだとおもいませんか??」
梓「私のコチコチに固まった人生観がぐるっと180度変わったんです!」
梓「なんだか救われたような気がしました」
梓「唯先輩のおかげなんです! 唯先輩は私を照らしてくれた太陽なんです!」
梓「私の臆病な背中をぐっと押してくれたんです」
梓「理想の世界じゃないけれど唯先輩がいてくれたら、大丈夫そうなんです」
梓「窮屈な闇の世界に一筋の光が差し込んだような、そんな希望」
梓「おもえば唯先輩に初めてであったときもそうでした……」
梓「冷め切って空虚になった私の心を」
梓「唯先輩の笑顔がたくさんの愛で満たしてくれたんです///」
梓「唯先輩……だから私にとって唯先輩はただの先輩じゃなくて」
梓「心から……心からの 」
唯「ごちそうさま」
梓「はい お粗末さまでした♪」
唯「あずにゃんも馬鹿な事ばっか言ってないで早く食べようよ」
梓「はふん///」
唯(気が狂っとる……)
食後
唯「じゃあ要するに」
唯「私の愛したあずにゃんは帰ってこないってことだよね?」
梓「ふふ、代わりに梓を目一杯愛してください」
唯「うわーんあずにゃーん!! カムバアアアック!!!」
唯「びえええええええぇぇぇ」
梓「……もうっ」
梓「わかりました」
梓「こっち見てください」
唯「……」
梓「あずにゃんだにゃぁん♪ てへっ☆」
唯「……うっぷ」
唯「……あずにゃんはそんなにスナイパーじゃないよ」
梓「よくわかんないですけど狙いすぎってことですか?」
唯「そうそう、自然なあずにゃんがいいんだよ」
梓「自然なあずにゃんってなんですか」
梓「さっきもいいましたけどあずにゃんの時点でもう不自然の塊なんです」
梓「偽りの人格なんですよ!」
梓「いわばもう一人の私!」
唯「じゃあそのあずにゃんと入れ替わってよ」
梓「ひどいです……どうして素の私じゃだめなんですか?」
唯「えっと、それは……」
唯「なんかその……」
唯「……キツイ」
梓「キツイ……キツイ……」
唯「態度とかキャラ的にそそられないんだよ……」
梓「私を見てそそってたんですね嬉しい!」
唯「いやいや。 たしかにね、今だってあいも変わらず可愛いよ? だけどね」
梓「ふふ、ふへへぇ」
梓「くぁわいいって、くぁわいいって言った」ニヤニヤ
唯「……ほらそういうの」
唯「せっかく可愛いのに台なしなんだよ……」
梓「台なしですと!?」ガタッ
唯「例えばね」
唯「カレーっておいしいでしょ?」
梓「はい!明日はカレーにしますか?」
唯「そのカレーが濃い味付けで何日も連続ででてきたら」
唯「だれでも辟易するよね?」
梓「……」
梓「……見ただけでお腹いっぱいってことですね」
唯「わかった?」
唯「好物ほど連続してたくさんたべちゃいけないんだよ?」
唯「それが好きで居続けるコツだよあずにゃん」
唯「人間関係もそうだよ。ずっと一緒にいるとお互いに嫌な部分がだんだん」
梓「なんかおっさん臭いですよ」
梓「唯先輩の分際でそんな人生哲学語らないでください」
唯「いやぁ、これは和ちゃんの受け売りでもあるんだけどね……」
梓「つまり唯先輩的に言うと、すでに」
梓「倦怠期?」
唯「そうとも言えるかな。あずにゃん分が飽和状態」
梓「そんな……」
唯「たぶん無補給で年越せるよコレ……」
梓「そんなぁ!」
梓「だめです!私は全然たりないんですから!」
梓「私の唯先輩分はオールウェイエンプティです!」
梓「梓の心はカラッカラに渇いてます!」
梓「愛をください」
唯「ガソリンスタンドにでも住みなよ」
梓「えっ! 唯先輩の家にすんでいいんですか!?」
唯「全然ちがうよ!」
唯「もう今日もだいぶキテるから寝ようねあずにゃん」
梓「だめです。この唯先輩的倦怠期を突破するまでおちおち寝てられません」
梓「なんとかしましょうよ!」
梓「ゆいあずの危機なんですよ!??」
唯「演芸大会のユニットは関係ないじゃん……」
梓「無知は罪ですね」
唯「でもねぇー。うーん」
唯「今のあずにゃんを愛するためには」
梓「愛するだなんて……///」
梓「そこまでしてくれるんですか。もぅ///」
唯「……自信ないよ」
唯「全く展望が見えない、微塵も、かけらも」
唯「……」
唯「そうだこういうことはみんなに相談すればいいんだ」
唯「明日休みだけど集合してもらおう」
梓「えー、せっかく二人きりの休みなのに」
梓「デートの予定が……頑張って計画たてたんですけど」
梓「なのに、おじゃま虫が3人もくるんですか?」
唯「それ直接言ってみなよ」
脱衣所
唯「……ねぇあずにゃん」
梓「はい?」
唯「でていってくれないかな」
梓「はい?」
唯「もしかして一緒に入りたいの?」
梓「はい」ニコニコ
唯「そっかぁ」 ガシ
梓「!?」
ペイッ ガラガラバタン
梓「……」
梓「ちょっとぉ!」
梓「唯先輩!唯先輩!唯先輩!」
梓「開けてください!一緒に入りましょうよ!」ドンドン
梓「なにもしませんってば!」
梓「やらしいこととかしませんから! いい子にしてますから!」ドンドン
唯「すぐあがるから待っててね~」
梓「……」
梓「ひどいです」
梓「まだなにもしてないのに……」
梓「ひどいですよ……」
梓「……ひっぐ、グス」
唯「泣き落としは効かないよ」
梓「……」
お風呂
唯「あずにゃんを愛する方法かぁ……」
唯「いや、あずにゃん的にはあずにゃんじゃなくて梓か」
唯「なんかよくわかんないや」
唯「けどいまのあずにゃんは苦手だなぁ」
唯「こうね、ガンガン押し迫られるとさ、妙に窮屈なんだよねー」
唯「そういうのは私のポジションじゃないっていうかね」
唯「う~ん」
唯「そうなんだよ! 私は攻撃こそ最大の防御なタイプだから」
唯「あずにゃんの猛攻にたえてばかりじゃだめなんだよ」
唯「攻めて攻めて攻めまくる! これが平沢唯!」
唯「ムギちゃんが前にいってた、ゆいせめ?かなんかだ」
唯「意味はわからなかったけどたぶんこのモヤモヤの事なんだろうなぁ」
唯「あとなんだっけ、あずうけ?だっけな……うけって何だろう」
唯「あずにゃん超ウケる!のウケかな」
唯「明日きいてみよーっと」
リビング
唯「ふいー、あがったよーあずにゃん」
梓「憂が荷物とどけに来てましたよ」
梓「もう帰りましたけどね」
唯「あ、憂ほんとうにきてくれたんだ」
唯「でも帰るのはやすぎだよー」
梓「憂はなかなか空気読めますから」
梓「それと」
梓「はい、お風呂上りのアイスです」
唯「アイス!」
梓「先にたべてください。私はあがったら自分の分食べます」
唯「わーい。いいのー?」
梓「とってもおいしいですよ」ペロペロ
唯「で、なんであずにゃんがそれを食べるのさ!」
梓「決まってるでしょう?」ペロペロペロペロ
梓「はいどうぞ」
スッ
唯「あずにゃんがデロデロに舐めた後のアイスを食えと!?」
梓「嬉しいくせにぃ!」
梓「内心まんざらでもないんでしょ?」
唯「いや、べつにいいけどさ……」
唯「なんかすでにビジュアル的に拒絶反応がでるなぁと」
唯「新鮮なアイスが暑さにやられたシロクマみたいにグデっとしてるよ」
梓「なんですかその例えは。失礼しちゃいますね」
唯「ソレはもうあずにゃんが食べちゃってさ、新しいの出してきてよ……」
梓「えぇー、つまんないです!」
梓「いつもの唯先輩なら絶対絶対食べてくれました」
梓「むしろ率先的に!」
唯「今日は気分じゃないからね……」
梓「もう。じゃあいいですよ!」
梓「はぁ……全く」ブツブツ
唯「あれ、怒った?」
梓「呆れてるんです」
唯「完全にこっちのセリフだけどね」
梓「もっとガツガツしていいのに……」
梓「私唯先輩の愛ならいくらでもうけとめてあげるのに……」
梓「愛のパワーがたりなさすぎです」
唯「なんか愛してるの響きだけで強くなれそうだね」
梓「もう///」
梓「それじゃあお風呂はいってきますね」
梓「のぞかないでくださいね?」
唯「……そのセリフ、今は非常にイラっとくるね」
お風呂
梓「唯先輩唯先輩唯先輩唯先輩」バシャバシャバシャバシャ
梓「唯先輩唯先輩唯先輩唯先輩」バシャバシャバシャバシャ
梓「んんっ唯先輩唯先輩!」バシャバシャ
梓「唯先ぱ ぁ」
梓「~~~ッッ!!!」
梓「んあっ! だめ」バシャア
梓「はぁ」
梓「はぁ……はぁ」
梓「……はぁ」
梓「……頭ぼーっとする……」
梓「またやってしまった……」
梓「最低だ……私って」
梓「せっかくの唯先輩のだし汁が……」
リビング
梓「ふー、良いお湯だった」
梓「あれ 唯先輩どこにいったのかな」
唯「あーずにゃん!」ダキッ
梓「に"ゃ!」
唯「いいものをあげよう」
梓「なんですかヴァージンですか?」
唯「ヴァー? 違うよ! ほらこのアイス」
梓「私が買ってきたやつじゃないですか」
唯「うん、そだよー」
唯「ジィー」
梓「?」
唯「……ゴクリ」
梓「……あぁ 欲しいんですね」
唯「よくわかるねーさっすがあずにゃん」
梓「よくばりですね唯先輩は」
唯「だって好きなんだもん」
梓「えっ」
梓「私は大好きですよ?」
唯「えー私のほうがずっと好きだとおもうなー」
唯「だって毎日食べたいと思うもん」
梓「大胆ですね……///」
唯「アイスの話だよ?」
梓「あぁ、そうだと思いました」
最終更新:2010年12月27日 02:15