ひるやすみ!

純「――最近ってさ、前はしょっちゅう抱きついてたの?」くすっ

梓「うん。なんかもう、ところかまわずって感じだったのに」

憂「うーん……お姉ちゃん、家ではそんなそぶり見せてないけど」

純「……っていうか、飽きられたんじゃない」にやにや

梓「なっ……そ、そういう人じゃないもん!」

純「前は抱きつかれるのいやがってたくせにー」

梓「それとこれとは話がべつだよっ、……ってか、いつもと様子違うからちょっと心配なだけだし」

憂「お姉ちゃん、最近は軽音部だとどんな感じだったの?」

梓「えーっとね……」


――――――

梓「失礼します……」

唯「あ。あずにゃん、英語の辞書もってる?」

梓「えーっと、電子辞書でよければ……って、どうしたんですか?」

律「わりいんだけど、澪もムギもいないからさ、部活終わるまで借りちゃってよかったり……」

梓「いいですよ。受験勉強、がんばってくださいね」にこっ

唯「ありがとあずにゃん! じゃありっちゃん、今日は不定詞を攻略するよっ」ふんす

律「おーっしまかしとけー! まずは名詞的ようh――」

ガチャ

紬「梓ちゃんも来てたんだ。お茶でもどう?」

律「――のまえに、まずは休憩だな!」

梓「………」じとーっ

律「いや、後でちゃんとやるってば?!」

唯「あはは……じゃああずにゃん、こっちおいで」

梓「……あ、はい!」


――――――

憂「そうなんだ……お姉ちゃん、変だね」

梓「でしょ?」


純「え……どの辺がおかしいの? 普通じゃん?」

梓「いや、だって……なんか分かんないけど、違和感かんじたっていうか…」

憂「最低三回は抱きつくタイミングがあったはずだもん」

純「そんなに?!」

憂「うん。入ってきたときと、辞書借りたときと、あとは梓ちゃんを席に呼んだとき」

純「うわあ……」

梓「……別に、抱きついてきてほしいってわけじゃないけどさっ」

純「あー、はいはいそうだね、うん」

梓「まじめにきいてよっ」

憂「ま、まぁまぁ…」

梓「――でね、二人はどう思う? 唯先輩のこと」

純「そうだなー………あ、彼氏ができたとか」

梓憂「「それはないよ」」

純「二人同時にいわなくても……じゃあ他に何かある?」

憂「うーん……」

梓「どうなんだろ……」

純「受験近いし軽くうつ、なんてのは?」

憂「それも……なさそうかなあ。家では元気そうだから」

梓「………やだったのかな」

純「え?」

梓「なんか……唯先輩にがんばってくださいって、よく言ってたし」

純「プレッシャーになってたとか?」

憂「でも、喜んでたよ? 梓ちゃんが応援してくれてるって」

梓「それだけじゃなくて……なんか、下校の時とかも、来年は一人かなって思うとすごい意識しちゃって」

純「あー…分かる分かる。一度気になるとずっとそんな感じになっちゃうかも」

梓「……変に突き返すような態度とかとっちゃってたし…」しゅん

憂「かっ考えすぎだよ!」あせっ

純「まあ、憂のお姉ちゃんも大人になってきたってことじゃない?」

梓「大人ってなんなのさっ」

純「知らないよ?!」


憂「……じゃ、じゃあね。その…梓ちゃんの方から、積極的にお姉ちゃんに話しかけてみるって、どうかな?」

梓「え……ええっ」

純「あー……それもなんかおもしろそうかも!」きらきらっ




ほうかご!

梓「……で、なんで二人まで付いてきてるのさ」じとーっ

純「いやだって、そういう梓の姿ってめったにみれないじゃん?」くすっ

梓「もう……ジャマしないでよ?」

純「邪魔じゃなくて応援だってば」にやにや

憂「大丈夫だよ、私たちは隣の教室に隠れてるから」

梓「うん……ありがと」かあっ

純「もういっそコクっちゃいなよ!」

梓「……やっぱ純だけかえれっ」うるっ

純「じょ、じょうだんだってば!」あせっ

ガチャ

唯「あ……あずにゃん、早いね」

梓「こんにちは……ゆいせんぱいっ」

唯「勉強してるけど、あずにゃんは気にしないで練習してていいからね」

梓「あ……え、はいっ」


唯「……あの、あずにゃん」

梓「ひゃ、はい!」

唯「そんなに、こっち見てると……ちょっと、はずかしいかも」かあっ

梓「あ…その、すいませんでした……」しゅん


純『うわ…ぎこちなっ』

憂『だいじょうぶかな、梓ちゃん…』


唯「あ……じゃあ、ちょっと息抜きにギー太とあそぼっかな」

梓「あっ……えっと、受験勉強もしなきゃだめですよ!」


唯「……うん、そうだよね」

梓「ま、まあでもちょっとぐらいなら……いいと、思います」

唯「そ、そっか……じゃあ、ちょっとだけ合わせてみようかな」

梓「はい……じゃあ、ごはんのイントロから」


梓「……えっと、その…こっちに来て、一緒にやりませんか?」おどおど

唯「……あ、うん。そう、だね…」

梓「はい………じゃあ、この部分から」

唯「あ……ごめんなさい。コードが、わかんなくなっちゃった…」

梓「えっと、教えます、その部分かこことここを押さえて――」


唯「……あの、ね」

梓「な、なんですか?」

唯「…………」

梓「…………っ」どきどき



唯「………ごめん、私ちょっと憂に呼ばれてたんだ!」がばっ

梓「きゃっ」ばたっ

唯「あずにゃん?! ……だいじょうぶ? ごめんね、急につきとばしたりしちゃって……」

梓「あ……だいじょうぶ、です」

唯「…………ごめんなさい」うるっ

ガチャ

梓「ゆ…ゆい、せんぱい……」



純「ちょ……だいじょうぶ?!」

梓「うん、私が勝手にバランス崩しただけだし……あは」

憂「梓ちゃん……」

梓「やっぱ……私、嫌われてるんだよね」

純「いや、そんなことはないって」

梓「だって、がんばって、ちかづいたのに……あんなふうにっ、さける、なんて……」うるうる

憂「お姉ちゃんが…梓ちゃんのこと、嫌いなわけないのに……」

梓「……うい、ゆいせんぱいにっ、きらわれちゃったよぉ……」ぐすっ

憂「梓ちゃん…」

純「……まあ元気だしなって。悪気あったんじゃないだろうしさ。憂、ここのお茶の入れ方って分かる?」

憂「あ……うん、前に紬さんに教えてもらったから」

純「じゃあさ、外寒いし少し休んでから三人で帰ろうよ。……憂、たのんだ!」

憂「うん……そうだね」くすっ

梓「…ごめん、うい、じゅん……」じわっ

純「あーもう、軽音部でお茶するの夢だったんだよね!」きらきらっ

憂「あははっ」

梓「純……ずうずうしいよ」くすっ

純「ごめんごめん」にこっ

――――――
――――
――

純「……あー、お菓子ついてないかなー」

憂「ごめん、今は持ってないかも…」

梓「ずうずうしすぎだよっ」

純「あはは、ごめんごめん」

梓「でも……ありがと。憂も、…純も」

憂「ううん、気にしないで。おなかも空いてきちゃったし、そろそろ帰ろっか」

梓「……そうだね」にこっ

憂「……あ。晩ごはんのおかず、買ってかないと…」

純「じゃああずにゃんは私が責任を持って家に送り届けるから!」きりっ

梓「あずにゃんって……言わないでよ」くすっ

純「あは、そうだね」



すうじゅっぷんご!

憂(……ふぅ。ありあわせになっちゃいそうだけど、卵とレタスあるし大丈夫かな)

憂(お姉ちゃん……家に、帰ってるよね…?)

~♪

憂(あ……純ちゃんのメールだ)

 純《あずにゃん家に送ってきたよ~。具合悪そうだから明日休むかもって。でも、おばさんからおみやげゲットした!》

憂「ふふっ……純ちゃんらしいな」くすっ

憂「梓ちゃん…ごめんなさい、私のせいだよね……」


唯「あ……うい」

憂「お姉ちゃん……いま、帰ってきたんだ」

唯「うん……ちょうど、だったね」



ひらさわけ!

唯「ごちそうさま」

憂「……あのね、お姉ちゃん」

唯「ほえ?」

憂「……ごめんね、さっき、軽音部の部室のこと……見ちゃったの」


唯「……ごめん、わたし、失敗しちゃった…」

憂「うん、あれはやりすぎだよ…」

唯「……ほんとにね、憂が言ったとおりにしてみたら、あずにゃんが私のこと見てくれるようになってね」

憂「うん、梓ちゃんもお姉ちゃんのこと気にしてたもん」

唯「だけど……さっきは、なんか怖くなっちゃって」

憂「怖くなった、って?」

唯「……はじめはね、前に憂に言った通り、たまにはあずにゃんから抱きしめてほしいなって思っただけなの」

憂「うん」

唯「だけど、教えてくれた通りに抱きつくの我慢して待ってたら……その、つらくなって」

憂「……」

唯「……わたし、あずにゃんのこと…」

憂「……好き、なんだよね」

唯「こんなときに初めて気づくなんて……ばかだよね、わたし……」うるっ

憂「そんなこと、ないよ…」

唯「わたし、どうしたら…ひっく、えぐっ……」

憂(お姉ちゃん…)


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