唯「ふんふふーん…うぁっ!?」

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唯「ふんふふーん…うぁっ!?」

放課後、部室に向かうべく廊下を歩いていると、突然なにかが背中にぶつかった。
私はバランスを崩してよろめいてしまう。

唯「おっとっと…な、なに…?」
梓「唯先輩、こんにちは!」
唯「なんだあずにゃんか…どしたの?いきなりぶつかってくるなんて」
梓「なんだとはなんですか!あとぶつかったんじゃなくて抱きついたんです!それくらいわかってください!」
唯「えー…」

あずにゃんは抱きついたつもりでも、不意にされた私からすればぶつかられたとしか言い様がないんだけど…
と言いたいところだったけど、そんな不満もあずにゃんの笑顔を見ていると吹き飛んでしまった。
まぁいいか、あずにゃんかわいいから。

唯「ところで、どうして私のとこに来てくれたの?」
梓「先輩が遅いので迎えに来たんです。なんてったって私は唯先輩の恋人なんですから!
 さ、早く部室に行きますよ!」
唯「わ、ま、待ってよあずにゃん!なんでそんな急ぐの!?」

あずにゃんは問答無用といった様子で私の手を引いて廊下を走り出した。
ちっちゃな体で一生懸命に走るあずにゃんは、なんだか妙に嬉しそうだった。

ガチャ、バターン!

梓「唯先輩を連れてきました!」

あずにゃんが勢いよく部室の扉を開くと、皆ぽかーんと私たちを見つめた。
この反応からすると、別に急ぐ必要はなかったんじゃ…?

律「唯に梓?なにをそんなに急いでんだ?」
唯「はぁ、ひぃ、へぇ…な、なにがなんやら…」
梓「さぁ唯先輩座ってください、お茶にしましょう!ムギ先輩、お茶お願いします!」
紬「は、はいっ!?」

なんかさっきからあずにゃんのテンションがおかしい。一体どうしたんだろう…?
皆も私と同じ疑問を抱いているのか、不思議そうにあずにゃんを見ていた。
当のあずにゃんはというと、ムギちゃんから受け取ったティーカップを持って、なにやらもじもじと私を見つめている。

唯「あずにゃん?それ、私のだよね?」
梓「あ、あの…唯先輩、これ…」
唯「なに?」
梓「の、のの…飲ませて、あげます」
唯「え?あずにゃんが?いやいいよ、さすがに自分で…」
梓「ふー、ふー…はい、唯先輩。口開けてください」
唯「う…」

あずにゃんは半ば無理矢理に私に紅茶を飲ませた。

あずにゃんがこんなことをしてくれるのは、正直とても嬉しい。でも、それ以上に…熱かった。

唯「んんー!あつーい!」
梓「きゃぁっ!?」ガチャ-ン!
律「わー!梓が紅茶こぼした!」
澪「ゆ、唯!制服がびしょびしょだぞ!」
紬「唯ちゃんたいへん、早く脱がなきゃ!とにかく脱がせなきゃ!」

ワーワ-…



梓「…ごめんなさい」

部活が終わって二人きりになった部室で、あずにゃんはしょんぼりと私に謝った。
ちなみに、私は上下ジャージだった。

唯「いいんだよ、あずにゃんは私のためにやってくれたんだから」
梓「でも、先輩の制服をあんな風にしちゃって…本当にごめんなさい!クリーニング代はちゃんと払います!」
唯「ホントにいいんだって、私が吹き出しちゃったのも悪いんだし」
梓「でも…」

あずにゃんは目に涙を浮かべながら私を見つめていた。
そんな顔を見ていると、なんだか私まで胸が締め付けられるようだった。

梓「私、最低です…こんなんじゃ、唯先輩の恋人失格です…」
唯「…そんなこと、ないよ」

私はうつむくあずにゃんをぞっと抱きしめた。
あずにゃんはしばらく私の腕の中で小さく泣いてから、ぽつりぽつりと語り出した。

梓「私…いつも唯先輩がするみたいに、スキンシップしようと思ったんです」
唯「スキンシップ?」
梓「私はいつも受け身になるばかりで、唯先輩に何もしてないし…恋人同士って、もっと仲良くするものだと思ったから…」
唯「…なんだ、そんなことだったんだー」
梓「そんなことって…」

唯「もちろんスキンシップしてくれるのは嬉しいよ?けど、私は普段のあずにゃんが一番好きなんだよ。
 私が抱きついたりすると照れるような、そういうあずにゃんが好きなの」
梓「唯先輩…」
唯「だから無理しないでいいんだよ、あずにゃん」

私が力を込めて抱きしめると、あずにゃんはくすぐったそうな顔をした。
それは、すっかりいつものあずにゃんだった。

梓「は…離してください、苦しいですよ」
唯「やだー♪さっきスキンシップしたいって言ったでしょー?」
梓「たった今無理しないでいいって言ったじゃないですか!」
唯「それはあずにゃんからって意味で、私は別にいつも通りだもん」
梓「ず、ずるいです…」

そう言いながらも、あずにゃんはそれ以上抵抗することはなかった。
それどころか私の背中に手を回したので、抱き合うかたちになる。

唯「あずにゃん…」
梓「まぁ…む、無理はしてないですから」
唯「そのわりには顔が赤いよ?」
梓「く、くっついて体温が上がっただけです!」
唯「わかったわかった♪ホントにあずにゃんはかわいいなー」
梓「も…もう!」


――ねぇあずにゃん、どちらかが一方的に抱きついたりするのもいいけど…
こうやって抱き合うのも、恋人らしくていいよね。


終わり


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