家庭用ゲーム版が発売されたにも関わらず、何の音沙汰もないところを見ると、コーエーさん的には、どうやらもうパッチによる改善を行う気が無いような感じなので、「ウイニングポストワールドとは何だったのか」というのを総括してみます。この文章はPC版を元に書かれています。
ページタイトルが欠点まとめになっているのは、まとめていると欠点しか出てこないからです。

そもそもの発端

このゲームはとにかく出発地点が酷かったんですね。「従来のWPのようなプレイ」と嘘を書いてみたり、有り得ないバグを持ったまま発売してみたり、ユーザーを舐めてるとしか思えない態度で発売されてしまったのがそもそも間違いだったのでしょう。PC版向けのインターフェースすら作るのを放棄していたわけで、これはウイニングポスト云々以前に、コーエーとして初めてだったと思います。こんなのならPC版出さない方が良かったのではないでしょうか。

シナリオモードとワールドモード

シナリオはそもそも周回プレイ前提の作りにも関わらず、それに対するサポートが無さ過ぎるんですよ。一部既読スキップ的なものはありますが、大半の文章は何度も読まなければなりませんし、周回を重ねることにより有利になる部分も、アイテムとポイント、あと名馬カードしか無いんですね。そしてここが最大の欠点なのですが、周回プレイを行い、アイテム、ポイント、カードを集めた後待っているのはワールドモードしかないんですよ。そしてそれは細かく書きませんが、酷すぎる出来の一言で表せるものであり、大半の人はシナリオモードをやった時点でゲームを終えてしまうと思います。いや、そこまでたどり着く人ですら多くは無いのかもしれませんが。

馬主

これは馬主だけではなく、他にも共通することではありますが、自分がいろいろ弄くれる血統が名馬カードを除いて2008年時点のデータで固定であるというのが最大のネックだったと思います。当然ながらサンデーサイレンスの血を持った種牡馬、繁殖牝馬が大量に存在し、その上全兄弟も少なくなく、血統のバリエーションという面に乏しいんですね。家庭用版にチチカステナンゴが居るという話も聞きませんし、PC版後に時間はたっぷりあったはずなのですが、血統の入れ替えすらしていないところを見ると、開発側はそれほど血統に対するこだわりが無いんでしょう。だからこそこういう仕様で出せるのでしょうけど。
また、ゲームだから仕方がないといえば仕方がないのですが、馬のローテーションが適当すぎるんですね。自馬だけではなくCOM馬もそうです。実際にはこんなところ使ってないよって所にどんどん出てくるので、ある程度競馬を知っている人ならこれは無いわと思うことが多くなります。
また、せっかくCOM馬主の人数を大量に用意しているのに、アドマイヤやサクラの馬を本来持っているであろう人が持っていなかったりするのも意味がわからないです。適当すぎますよ。
配合面では、爆発力の影響が強すぎていい馬産まれまくりになり、あまりにも簡単すぎるゲームバランスも意味不明ですね。そしてそういう仕様であるにも関わらず、SP値の天井が100付近であるというのもやり込めないポイントです。初期繁殖牝馬のSP最大値は高いものでも70付近なのですが、爆発次第では初期馬なのにSP90以上のものも容易に出てきますし、なにより、持って生まれた能力だけではなく、フローで開花した後天的能力まで遺伝してしまう為、たった2代3代で、ゲームシステム上、これ以上のものは産まれないというところまで到達してしまいます。これがもう少し厳しいルールであれば、対戦等も盛り上がったのではないでしょうか。

調教師

未だにワールドモードはプレイしていないので、シナリオモードでプレイした感触をもとに書きますが、インターフェースが糞すぎたの一言です。また、調教内容も薄っぺらで工夫も何もなく、正しい道が一本しか無いのもやる気を萎えさせるポイントでした。
もうひとつ、穂高調教師がネット上のアンチと戦うというイベントがありましたけど、なんでクソゲーにはもれなくこういうイベントが常備されてるのだろう、と、家ゲKOTY住人としては思わざるを得なかったですね。

騎手

横に自由に移動できない時点で騎手ゲームとは言えないでしょう。直線では多少なんとかなりますが、道中は完全に不可能ですし、縦の動きもほとんど体感できないレベルでしかできません。仕掛けのタイミングも自由にはできませんし、馬に乗せられてるだけのゲームでしたね。
勝つたびに主戦にならないか、もしくは主戦は○○だからと言って来るシステムも無駄にボタンを押させるだけのものでしかなく、何のために存在しているのでしょうか。
あとワールドモードで気になったのは、壬生調教師のみ、レース勝利後にシナリオモードのキャラになっていたことです。たぶんバグだと思いますけど、もし仕様なのだとしたら、なんでこういう中途半端なことをするのかと思います。

実況

いらなかったですね。

良かった点を必死に考える

いくつかはあるんですよ。ただそれが悪い点とトレードオフになっていたりするから始末が悪いんです。

  • 週ごとの、「土曜日、日曜日のレースを行っています」というロード時間が消えた
何故消えたかというと、単純にデータ量がとんでもなく少なくなったからなんですがね。
  • CGが良かった
これは否定材料が一見無いように見えますけど、騎手のポーズの使いまわしが多いのと、追加CG2-5の出来が他に比べていまいち&使いまわしというのが残念でした。ただ、個人的には以前までのリアル調芸能人似CGに比べると好きですね。

次作があると仮定しての改善点

勿論一番いいのは、こんなものの続編なんて作らずに、WP8なりWP7 2009なりに開発力を結集していただくことなのですが。
シナリオモードでは、まずギャルゲーらしさをもっと前面に出すことが重要でしょう。このらしさというのはシステム面での既読スキップや、立ち絵CGギャラリーを作ったりとか、フルボイスにしてみるとか。いっそのこと競馬ゲームなのに馬関係なくキャッキャウフフだけやることもできるカオスなゲームという感じにすれば、そういう方面の需要も喚起できるのかもしれません。
2年という期間も短すぎましたね。さわりの部分だけプレイしてそれで終わり、ストーリーはどれもこれも俺たちの戦いはこれからだENDでは話にならないでしょう。10年20年スパンで続いていくイベント等もいくらでも作れるでしょうし、シナリオの期間を長くすることに特化すれば競馬ゲームファン以外にも訴求力があるのではないでしょうかね。

ワールドモードは無くした方がいいでしょう。どこを直せばいいとかそういうレベルではありませんし、この出来でリリースするようなスタッフに改善できるとは思えません。
最終更新:2009年04月07日 13:33