古アスガル語・音声編

……昔のアスガル語の音を推測してみるコーナー
(これは単なる妄想ネタであり、公式設定とは何の関係もない。また以下の説は単なるワンオブゼムに過ぎず、たまたま最初に書き出されたという点以外に特筆すべき部分はない。仮に今後もっと面白みのある推論を思い付いた場合は、今回のものを無かった事にしてそちらをメイン格として扱うかもしれない)


 アスガル語のS,s[ S ]だが、これは元々[ s ]であった。かつてのアスガル語は本国式西語と同じように、Þ,þの音である[ T ]S,sの音である[ s ]が対立し、[ S ]という音は無い言語だったのだ。ところが、幼い頃からアスガル語に触れていた者はともかくとして、大人になってからアスガル語を学習する者から「[ T ][ s ]なんて聞き分けらんねーよ!」という苦情が相次いだ為、区別の為にS,sが次第に口蓋化していき[ s ]から[ S ]へと音が変化した。もっとも、実は従来のアスガル語にも[ S ]という音が全く無かったわけではなく、後ろにiが続く場合si[ Si ]と発音される事があった。日本語の条件異音と似たような現象だ。この為大人になってからアスガル語を学んだ者でもþisiだけは比較的容易に聞き分けられたと伝わっている。現在のアスガル語においてsが常に[ S ]として発音される下地はこのころからすでに備わっていた、と言えるであろう。

 また、現在では[ f ]と発音されるV,vもかつては[ v ]であった。だが[ T ][ s ]の場合と同様に「[ v ][ b ]なんて聞き分けらんねーよ!」という苦情が相次ぎ、[ v ]は次第に無声音化して[ f ]へと変化していった。最初に文句を言い出した面々はそれで納得したが、今度は別地方の出身者から「[ f ][ p\ ]なんて聞き分けらんねーよ!」という苦情が出て来だしたのだ。当時のF,f[ p\ ]と発音されていた。これは日本語のフと同じ子音だ。そういうわけで、今度はF,fの発音が[ p\ ]から[ h ]へと変化した。[ h ]は今のアスガル語には無い音だ。そういう経緯でこれらの者は納得したが、今度はさらに別地方の出身者から「[ h ][ x ]なんて聞き分けらんねーよ!」という苦情が出て来たわけだ。[ x ]は当時、H,hの音だった。現在F,fの音となっている[ X ]とは調音点が微妙に違うが、まぁ大体似たような音だ。このH,hS,sと同様、後ろにiが続く場合に[Ci]と発音される事があったので、常に[ C ]と発音されるようになっていった。そして最後に「[hi][Ci]って、耳で聞く分には何とか聞き分けられない事もないんだけど、発音しようとするとどうしても両方[Ci]になっちゃうんだよなぁ……」という者達が、以前H,hの音として使われていた[ x ]を、[ h ]の代わりにF,fの音として使うようになった。もっとも「とりあえず[ h ]よりは少し前目だけど喉の奥の方で出す音だったよな?」といった程度の認識しか無かった為に、従来のH,hの音であった[ x ]より調音点が奥にずれて[ X ]という音になってしまい、現在ではそれが定着した。

 ちなみに現在のアスガル語ではÞ,þの異音として[ s ]がよく使われているが、「[ s ][ S ]の異音に決まってんだろ、常識的に考えて……」という伝統的な派閥が一定の勢力を維持している為に、規範的な標準アスガル語においてはあいかわらずÞ,þの発音は[ T ]とされている。Þ,þ[ s ]と発音して通じない事は少なくとも現在の中央地域ではまずありえないし、知識層以外では[ s ]と発音している者の方がむしろ多数派かもしれないのではあるが。



まとめ

S,s : [ s ] → [ S ]
V,v : [ v ] → [ f ]
F,f : [ p\ ] → [ h ] → [ X ]
H,h : [ x ] → [ C ]




最終更新:2009年02月19日 20:27