検証36:用明天皇の意向を代弁する厩戸
用明天皇は、日本の天皇としてはじめて仏教信仰を詔として出した天皇である。
日本書紀には、このように記述されている。
日本書紀には、このように記述されている。
「天皇は病にかかられて宮中に帰られた。
群臣がおそばに侍り、天皇は群臣にいわれた。
『自分は、仏・法・僧の三宝に帰依したいと思う。卿らもよく考えよ」と。
群臣は参内して相談した。物部守屋大連と中臣勝海連は勅命の会議に反対して
『どうして国つ神に背いて、他国の神を敬うことがあろうか。(中略)』といった。
蘇我馬子大臣は、『詔に従ってご協力すべきである(中略)といった。」
《講談社学術文庫『日本書紀』(著:宇治谷孟)下巻 P74~75より》
つまり、天皇は群臣に、自ら言っているのである。ここで厩戸王子は一切登場しない。
山岸版
山岸版では、用明天皇は温厚な人物として描かれており、意見はいつも厩戸が代弁する。
仏教信仰の詔も、日本書紀通りではなく、厩戸が代弁するような形をとっている。
この他にも、用明はさほど発言をせず、厩戸が横で代弁して群臣らがたじろぐシーンが多くある。(参考:大王よりも言いたいことを言う厩戸)
仏教信仰の詔も、日本書紀通りではなく、厩戸が代弁するような形をとっている。
この他にも、用明はさほど発言をせず、厩戸が横で代弁して群臣らがたじろぐシーンが多くある。(参考:大王よりも言いたいことを言う厩戸)
池田版
池田版も、日本書紀と違って、病床の用明天皇の気持ちを厩戸が強く代弁するような形を取る。決めセリフを言う時の構図や表情も、群臣達の反応もよく似ている。
大王の気持ちを代弁する厩戸(画像左・池田版、右・山岸版)