2008.05.22 22:33
ミカヅキX
『
Phantom And Revenge
』
どことも知れない地下の一室。分厚い壁に半永久的な自家発電装置など、要塞並の設備を持つその空間は、ある意味核シェルターのようであった。
小さめの体育館程度の広さの空間のそのほとんどを占めるのは、無数の立方体が無秩序に融解したような、巨大な機械の塊であった。
小さめの体育館程度の広さの空間のそのほとんどを占めるのは、無数の立方体が無秩序に融解したような、巨大な機械の塊であった。
その機械の圧倒的な質量に比すると、あまりにもちっぽけに見える人影が二つ。
一人は全身黒づくめの長身の青年。
今一人は、長い白衣の下に畸形的な形状を隠しこんだ白髪の老人。
「ついに、完成いたしました」
老人が、卑屈な態度で青年に話しかける。
「これが・・・」
「そうです。コードネーム”Phantom And Revenge”。”PandR”、 パンドラ とお呼びくださいませ」
「パンドラ・・・」
青年は、天井にまで達するその威容を、黒い冷たい瞳で見上げた。
「こんなもので・・・」
「お疑いなさるな、御霊門様。このパンドラは、パッシブ・アンド・アクティブ・エレクトロマグネティック・フォースによって、あらゆる機器の回路、あらゆる磁性体に記録された情報を制御解読する事が可能なのです」
しなびた皮膚とは対称的にぎらぎらと光る眼で、老人は熱く語る。
「その能力をもって、世界中の隠蔽された軍事兵器を自在に操るというわけか」
「しかも、効果的に、ですな」
老人の言葉には、どこか勝ち誇った響きがあった。
「このパンドラの本当の能力は、いかに効果的に大量殺戮を成し得るかに特化した思考回路にあるのですよ、御霊門様。核、細菌兵器、自然破壊はもちろのこと、情報操作による人心操作による集団自滅まで、ありとあらゆる災厄の要素をふるいにかけ、もっとも効果的に人類を破滅させる方法を確立することが可能なのです!しかもその演算力はローレンスリバモアのブルージーンが かたつむり 並みに思えるほどでございます!」」
「ふ・・・まさにパンドラの箱、か」
「さあ、今こそパンドラに、 快楽主義 者どもへの復讐を命じてくだされ!」
「いいだろう」
老人の熱に浮かされるでもなく、青年は頬に冷笑を浮かべたまま、パンドラに向き直った。
青年は、軽く両手を広げた。
その動作だけで、機会の発する熱で暑苦しかった部屋の温度が、数度下がった。
老人の顔からは、先ほどの熱狂は消え、代わりに怯えと畏れの表情がうかんだ。
「我、怨霊の皇たる御霊門将平が命ずる。そこな鋼鉄の箱よ!地に蔓延せし醜き命、大地を犯し天を汚す罪深き生き物、人間を速やかに且つ効果的に殲滅せしめよ!」
最初は低かった青年の声は、次第に大きくなり、最後は地下の空間を振動せしめるほど朗々と昏らい空間に響き渡った。
数刻、何も変化は生じなかった。
しかし、音も無く、空間が震えだしていた。
青年の声の余韻ではない。
明らかに別の低周音が聞こえている。
「おお・・・」
老人が、喜びの声をもらした。
機械の怪物が、青年の声によって、ついに眠りから覚めたのだ。
不気味な振動音は、わずかに大きくなり空間を満たし始めた。
青年達の皮膚までが震えだしそうであった。
老人の顔に、若干の不安が浮かんだ瞬間、音が、消えた。
その一瞬後、機械のそこかしこに埋め込まれていたLEDや発行装置が、一斉に光を放った。
その様は、あたかも夜の海に浮かぶ不夜城のようであった。
ついに、パンドラが目覚めたのだ。
「コマンド・アクセプト・・・」
どこからともなく、パンドラの女性的な声がする。
「お答えします。マイ・エンペラー」
「ふっ、エンペラーだと。なかなかの性能だと、褒めるべきか」
青年は苦笑した。
老人は、その言葉を聞き流した。
パンドラのもたらす「回答」に集中しているのだ。
「私の出した回答は・・・」
やせ細った喉が、ごくりと鳴る。
一人は全身黒づくめの長身の青年。
今一人は、長い白衣の下に畸形的な形状を隠しこんだ白髪の老人。
「ついに、完成いたしました」
老人が、卑屈な態度で青年に話しかける。
「これが・・・」
「そうです。コードネーム”Phantom And Revenge”。”PandR”、 パンドラ とお呼びくださいませ」
「パンドラ・・・」
青年は、天井にまで達するその威容を、黒い冷たい瞳で見上げた。
「こんなもので・・・」
「お疑いなさるな、御霊門様。このパンドラは、パッシブ・アンド・アクティブ・エレクトロマグネティック・フォースによって、あらゆる機器の回路、あらゆる磁性体に記録された情報を制御解読する事が可能なのです」
しなびた皮膚とは対称的にぎらぎらと光る眼で、老人は熱く語る。
「その能力をもって、世界中の隠蔽された軍事兵器を自在に操るというわけか」
「しかも、効果的に、ですな」
老人の言葉には、どこか勝ち誇った響きがあった。
「このパンドラの本当の能力は、いかに効果的に大量殺戮を成し得るかに特化した思考回路にあるのですよ、御霊門様。核、細菌兵器、自然破壊はもちろのこと、情報操作による人心操作による集団自滅まで、ありとあらゆる災厄の要素をふるいにかけ、もっとも効果的に人類を破滅させる方法を確立することが可能なのです!しかもその演算力はローレンスリバモアのブルージーンが かたつむり 並みに思えるほどでございます!」」
「ふ・・・まさにパンドラの箱、か」
「さあ、今こそパンドラに、 快楽主義 者どもへの復讐を命じてくだされ!」
「いいだろう」
老人の熱に浮かされるでもなく、青年は頬に冷笑を浮かべたまま、パンドラに向き直った。
青年は、軽く両手を広げた。
その動作だけで、機会の発する熱で暑苦しかった部屋の温度が、数度下がった。
老人の顔からは、先ほどの熱狂は消え、代わりに怯えと畏れの表情がうかんだ。
「我、怨霊の皇たる御霊門将平が命ずる。そこな鋼鉄の箱よ!地に蔓延せし醜き命、大地を犯し天を汚す罪深き生き物、人間を速やかに且つ効果的に殲滅せしめよ!」
最初は低かった青年の声は、次第に大きくなり、最後は地下の空間を振動せしめるほど朗々と昏らい空間に響き渡った。
数刻、何も変化は生じなかった。
しかし、音も無く、空間が震えだしていた。
青年の声の余韻ではない。
明らかに別の低周音が聞こえている。
「おお・・・」
老人が、喜びの声をもらした。
機械の怪物が、青年の声によって、ついに眠りから覚めたのだ。
不気味な振動音は、わずかに大きくなり空間を満たし始めた。
青年達の皮膚までが震えだしそうであった。
老人の顔に、若干の不安が浮かんだ瞬間、音が、消えた。
その一瞬後、機械のそこかしこに埋め込まれていたLEDや発行装置が、一斉に光を放った。
その様は、あたかも夜の海に浮かぶ不夜城のようであった。
ついに、パンドラが目覚めたのだ。
「コマンド・アクセプト・・・」
どこからともなく、パンドラの女性的な声がする。
「お答えします。マイ・エンペラー」
「ふっ、エンペラーだと。なかなかの性能だと、褒めるべきか」
青年は苦笑した。
老人は、その言葉を聞き流した。
パンドラのもたらす「回答」に集中しているのだ。
「私の出した回答は・・・」
やせ細った喉が、ごくりと鳴る。
「無為無策」
しばしの沈黙の後、パンドラの出した回答に、青年が応えた。
「なるほど。つまり、何もせずともいずれ人類は勝手に自滅するという事か」
「イエス・マイエンペラー」
老人は、あんぐりと大きく口を開け、このやりとりを聞いていた。
「それが最も効率的な方法です」
「ふーむ。で、時間はどれぐらいかかるのだ、人類の滅亡まで」
「現時点ではその回答に要するデーターが少なすぎるので、正確な答えはだせません」
「では、類推では?」
「もっとも有効度の高い回答は、約56億年後です。マイ・エンペラー」
「・・・だとさ、博士」
青年が振り返ると、老人の外見は、今までの彼の姿が壮年期であったかと思わせるほど、更に老け込んでしまっていた。
「なるほど。つまり、何もせずともいずれ人類は勝手に自滅するという事か」
「イエス・マイエンペラー」
老人は、あんぐりと大きく口を開け、このやりとりを聞いていた。
「それが最も効率的な方法です」
「ふーむ。で、時間はどれぐらいかかるのだ、人類の滅亡まで」
「現時点ではその回答に要するデーターが少なすぎるので、正確な答えはだせません」
「では、類推では?」
「もっとも有効度の高い回答は、約56億年後です。マイ・エンペラー」
「・・・だとさ、博士」
青年が振り返ると、老人の外見は、今までの彼の姿が壮年期であったかと思わせるほど、更に老け込んでしまっていた。
続く・・・のだ
『P&R2 -the Next World-』
『P&R2 -the Next World-』
野良(--)
まぁそんなこったろうとは思ったけど、どういう演算を行ったんだろうな。05/23 22:33
水上 える
56億年もかかるのかなあ…05/24 01:43
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