予定運命の決定 〜シュペーマンの研究1〜

フォークトによって、胚の各部分の予定運命は明らかにされたが、その予定運命がいつ決定するのかについては謎のままであった。
それを明らかにしたのがドイツの生物学者シュペーマンである。

シュペーマンは、スジイモリと(色が濃い)クシイモリ(色が薄い)の二種類の予定神経域と予定表皮域を切り取って交換し、その移植片がどのような組織へと分化してゆくのかを追跡した。
すると、初期原腸胚を使った実験では、移植片は移植後領域の予定運命に従って分化したが、後期原腸胚では移植前領域の予定運命のまま分化することが分かった。
つまり、初期原腸胚の場合だと、予定表皮域に移植された移植片(予定神経域のもの)は表皮へと、予定神経域に移植された移植片(予定表皮域のもの)は神経へと分化したのに対し、後期原腸胚の場合、予定表皮域に移植された移植片(予定神経域のもの)は神経へと、予定神経域に移植された移植片(予定表皮域のもの)は表皮へと分化したのである。

このことから、表皮へと分化するのか、それとも神経へと分化するのかという、外胚葉の予定運命は、初期原腸胚と後期原腸胚の間に決定することが明らかになった。
最終更新:2009年05月21日 18:40
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