器官形成

多細胞生物は様々な組織・器官から構成されるが、それらはすべて、外胚葉・中胚葉・内胚葉のいずれかに由来している。
さまざまな器官がどの胚葉から形成されるのかは、カエルのケースで説明されるのが一般的だが、基本的にわれわれヒトのも同じと考えて良い。


外胚葉の分化

外胚葉からは基本的に表皮が分化する。
しかし外胚葉の一部は神経管となって体内に潜り込み、脳や脊髄などの神経系を形成することになる。
また、後の「誘導の連鎖」で見るように、眼の水晶体(レンズ)や核膜も外胚葉由来である(詳しくは後述)。
視覚で重要な役割を果たす網膜、聴覚をつかさどる内耳など、さまざまな感覚器も外胚葉に由来する。


中胚葉の分化

中胚葉は、いったん脊索・体節・腎節・側板と呼ばれる原基に分化し、その後、それぞれの原基から個々の器官・組織が分化してゆく。

  • 脊索は、ヒトを含めたほとんどの脊椎動物では退化・消失してしまう。

  • 体節は、節状の繰り返し構造を特徴とし、同じく繰り返し構造を持つ脊椎骨・骨格筋、および、背側の真皮(体節は側板より背側に位置する)などが分化する。

  • 腎節からは腎臓ができる。

  • 側板が包む空間はいわゆる体腔(動物の体壁と内臓との間の空間)へと変化する。

そのため、内胚葉(腸管)に接する側板からは消化管の筋肉(内臓筋)・消化管の結合組織・心筋が生じる(消化管は、複数の胚葉から形成されることに注意)。
外胚葉(表皮)に接する側板からは腹側の真皮(側板は体節よりも腹側に位置する)の他、副腎皮質や生殖巣が生じる。


内胚葉の分化

内胚葉からは、一般に「内蔵」と呼称されるものが多数分化してくる。

まずは内胚葉の両側の壁が隆起して上部でくっつき、腸管が形成される(カエル胚の腸管は、その上部が中胚葉であるため、内胚葉に相当するのはその植物極側に限られる。
つまりその内胚葉はウニとは異なり、最初から管状構造を取っているわけではない。)。
その腸管はそのまま消化管の上皮へと分化する(内臓筋は中胚葉由来であることに注意)。
また腸管の一部は、消化管にさまざまな物質を分泌する肝臓やすい臓へと分化するし、進化的起源を消化管に持つ肺や気管へと分化する部分もある(肺は気管を通じて腸管とつながっている)。
腸管から分化するものには、甲状腺や副甲状腺といった分泌線や、えらやえらに起源を持つ中耳もある(中耳はユースタキー管を通じて口腔につながっている)。


間違いやすい器官

  • すい臓は内胚葉、腎臓は中胚葉。

  • 脊髄は外胚葉、脊索は中胚葉、脊椎(骨)は中胚葉。

  • 外耳と内耳は外胚葉、中耳と耳管(ユースタキー管)は内胚葉。
最終更新:2009年05月21日 18:37
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